ホエザル(その他表記)howler monkey

改訂新版 世界大百科事典 「ホエザル」の意味・わかりやすい解説

ホエザル (吠猿)
howler monkey

中央アメリカから南アメリカ中・北部にかけて生息する,霊長目オマキザル科のホエザル亜科Alouattinaeに属する新世界ザルの総称。この名は,下あごの下にある大きな共鳴袋を用いて,変化に富んだ大きな声で鳴くことに由来している。アカホエザルAlouatta seniculus,アカテホエザルA.belzebul,クロホエザルA.carayaブラウンホエザルA.fuscaマントホエザルA.villosaの5種が知られている。特殊化した舌骨と共鳴袋を入れる巨大化した下顎部が特徴的。頭胴長は雄が47~72cm,雌が39~58cm。尾長は49~75cmと長く,尾を木に巻きつけて懸垂することができる。体重は雄が7~8kg,雌が5~6kg。体色は種によって黒いものから赤銅色のものまである。熱帯降雨林や半落葉樹林にすみ,木の葉,芽,果実などを食べる樹上生活者。複数の雌雄を含む平均18頭程度の群れをつくる。群れ内の雌の数は雄の約2.5倍で,単独生活をする雄もいる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホエザル」の意味・わかりやすい解説

ホエザル
ほえざる / 吠猿
howler monkey

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オマキザル科ホエザル属に含まれる動物の総称。この属Alouattaの仲間は特殊な発声器官もち、1キロメートル以上離れていても聞こえるほどの大長声を発する。5種に分けられることが多い。オマキザル科では大形のほうで、雄の体重は約7.5キログラム、頭胴長は46~72センチメートル。雌はこれより小さい。メキシコ南部からアルゼンチン北部に至る範囲に濃い分布を示す。熱帯多雨林がおもな生息地であるが、より乾燥した植生環境にもみられる。オマキザル科のなかでは葉食の傾向がもっとも強いが、そのための消化器官の特殊化はみられず、果実や花の多い時期、また多い土地ではそれらをよく食べる。数頭から十数頭の群れで暮らすが、マントホエザルA. palliataではしばしば20~30頭余のより大型の群れがみられる。

[西邨顕達]


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百科事典マイペディア 「ホエザル」の意味・わかりやすい解説

ホエザル

霊長目オマキザル科ホエザル属の新世界ザルの総称。頭胴長40〜65cm,尾も同じほど。中南米の標高0〜2500mくらいまでに分布。人手の入っていない乾燥した林,多雨林,疎開林の樹上にすむ。4〜22頭の群で主として早朝や夕方に行動。果実,木の葉,種子主食とし,小鳥,卵なども食べる。1産1子。舌骨で構成された大きな共鳴袋をもち,異常に大きな叫び声をあげ騒がしい。ブラウンホエザル,マントホエザル,アカホエザルなど6種がある。
→関連項目サル(猿)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホエザル」の意味・わかりやすい解説

ホエザル
Alouatta; howler; howling monkey

霊長目オマキザル科ホエザル属の動物の総称。5種から成る。体長 40~70cmで,新世界ザル中最大である。尾は長く,50~75cm。毛色黄褐色赤褐色,黒褐色など。喉頭部には舌骨で囲まれた空洞があり,これが共鳴袋の働きをするため,大声を出すことができる。その声は 3km遠方でも聞えるという。またなわばりをもち,他の集団が侵入してくると大声で吠える。 20~30頭ほどの群れで行動する。木の葉,果実,芽などを食べるが,昆虫類,鳥類,卵なども食物とする。中央・南アメリカの熱帯雨林に分布する。

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