ボア(ヘビ)(読み)ぼあ(英語表記)boa

翻訳|boa

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボア(ヘビ)」の意味・わかりやすい解説

ボア(ヘビ)
ぼあ
boa

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ボア科ボア亜科に属するヘビ総称。この亜科Boinaeの仲間は大形で無毒、ニシキヘビ亜科とは近縁であるがより原始的で、ほかの小形の3亜科をも含めボア科を構成する。ボア亜科には8属約21種が知られ、大半が南北アメリカに分布するが、マダガスカルボア属Acrantophisとサンジニアボア属Sanziniaの各1種はマダガスカル島に、パシフィックボア属Candoiaの3種はニューギニア島と、南太平洋の諸島に分布している。最大はアマゾン川流域に生息するアナコンダEunectes murinusで、最大記録は9メートル、さらにこの数値を上回る大きな個体の存在が推測されている。一方、最小はパシフィックボア類の全長約60センチメートルで、他種では2~4メートルほどである。ボア・コンストリクターBoa constrictorはこの亜科の代表種で、メキシコからアルゼンチン北部まで広く分布し、全長3~5.5メートル、頭部は小さいが胴が太く、体背面は細鱗に覆われ、美しい斑紋(はんもん)をもつ。森林、サバナから居住区付近にも生息し、胴で締める力が強い。餌(えさ)は小哺乳類(ほにゅうるい)、鳥、トカゲなどで、樹上または地上で待ち伏せしてとらえる。幼体以外は性質がおとなしく人間にもなれる。卵胎生一度に20~60頭ほどの子ヘビを産む。南アメリカ北部に分布する樹上性のエメラルドボアCorallus caninusは、ニューギニア島産のグリーンパイソンChondropython viridis形態、生態ともにそっくりで、系統の異なる2種が類似性を示す平行進化好例とされる。

[松井孝爾]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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