イラン北東部の都市,ホラーサーン州の州都で,2004年同州3分割以降,ラザビー・ホラーサーン州の州都。人口207万(2003)。日本ではメシェドMeshedとも呼ばれる。標高985mに位置し,年降水量230mm。かつては約20km北にあるトゥースṬūsに属し,セイナバードと称する小村にすぎなかった。シーア派第8代イマーム,イマーム・レザーが818年この地で毒殺され,その廟が造られてから聖地として発展し,〈殉教(シャハーダshahāda)の地〉を意味するマシュハドが地名となった。イラクのカルバラーとともにシーア派の巡礼地で,巡礼者はマシュハディーと呼ばれる。ティムール朝,サファビー朝下で発展し,18世紀中葉ナーディル・シャーのときには事実上の首都となった。コムと並ぶシーア派神学の中心地で,1956年にテヘランからの鉄道が開通した。また,トゥースには詩人フィルドゥーシーの墓がある。
執筆者:岡﨑 正孝
現存する主要な建築遺構の多くは,ティムール朝のシャー・ルフ時代(1409-47)のものである。イマーム・レザー廟の南側にあるガウハル・シャード・モスク(1405-18)は調和のとれた4イーワーン形式のモスクで,その大ドームとタイル・モザイクが重要。また,同モスクの東側には古写本,陶器,金属器,絨毯などを展示する博物館がある。以上のほかマスジェデ・シャー(1451),フワージュ・ラビ廟(1617-22)などの遺構がある。マシュハドの北約60kmにあるリバート・エ・シャリフRibāt-e Sharifは辺境の城砦兼スーフィー修道場(1114・15創設)である。
執筆者:杉村 棟
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イラン北東部、ホラサーン州の州都。標高985メートルに位置する。外国人はメシェッドMeshedともよぶ。人口188万7405(1996)、300万1184(2016センサス)、首都テヘランに次ぐ同国第二の都市である。肥沃(ひよく)な農業地域の中心地で、綿紡績、じゅうたん、食品加工などの工業が立地し、テヘランへ向かう鉄道の始発点である。818年にこの地で毒殺されたシーア派第8代イマーム・レザーの廟(びょう)がつくられ、シーア派教徒の巡礼地となった。地名は「(イマームの)殉教の地」を意味する。多くの神学校やモスクがあり、コムとともに神学の中心地である。かつては小村にすぎなかったが、ティームール朝、サファビー朝下で発展し、アフシャール朝の初代皇帝ナーディル・シャー(在位1736~47)のときには事実上の首都となった。多数の歴史的建造物がある。
[岡﨑正孝]
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…建築的には,マドラサや下記のキャラバンサライと同様な構成をとる。(4)墓廟(クッバqubba,グンバドgunbad,テュルベtürbe,マシュハドmashhad) 方形の墓室にドームや円錐形の屋根を架けたタイプと,円筒形ないし多角形プランの高塔の形式をとるタイプに大別される。(5)宮殿(カスルqaṣr,サライsarāy) 中央に池や噴水などを設けた中庭の周囲に公私の居室を配置したものを基本的単位として,これを多様に組み合わせた例が多い。…
…人口600万(1991)。州都はマシュハド。ホラーサーンは〈太陽khorの上る所〉を意味する。…
※「マシュハド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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