マトグロッソ(その他表記)Mato Grosso

改訂新版 世界大百科事典 「マトグロッソ」の意味・わかりやすい解説

マト・グロッソ[州]
Mato Grosso

ブラジル中西部の州。名は〈巨大な森林〉の意。面積88万1001km2,人口250万4353(2000)。州都クイアバ。かつては北は南緯7°21′から南は24°06′までに広がる大州であったが,1979年3月,全体としての人口増と南部地域の開発の進展から,南部がマト・グロッソ・ド・スル州Mato Grosso do Sulとして分離独立した。マト・グロッソ・ド・スル州は,面積35万0548km2,人口207万8001(2000),州都カンポ・グランデである。ここでは両州を合わせた一つの地域として説明する。

 北部には古期変成岩による高原が広がり,アマゾン川支流のアラグアイア,モルテス(マンソ),テレス・ピレスの諸河川の流域に属し,多くが熱帯雨林におおわれている。中部から南部にかけてはパラナ川パラグアイ川の流域で,東には標高数百mの堆積岩による卓状地の高原が広がり,西はパラグアイにかけてパンタナルと呼ばれる大湿地帯となり,そこでは標高は100mほどにすぎない。高原の大部分セラードで,カンポ・グランデ(〈大きな草原〉の意)から南に草原が広がる。年平均気温は北部で26℃,南部で22℃,年降水量は1300mmほどであり,5~8月にきわだった乾季が現れる。主産業は農牧業で,とくに牧牛が盛ん。サン・パウロ州からの開拓前線の進展で,南部の発展がめざましい。サン・パウロからこの州を南北に縦断して,マナウスサンタレンに達する国道ブラジリアに通じる国道が開け,クイアバはその交通の結節点となっている。
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百科事典マイペディア 「マトグロッソ」の意味・わかりやすい解説

マト・グロッソ[州]【マトグロッソ】

南米,ブラジル中西部の州。名称は〈巨大な森林〉の意。アマゾン,ラ・プラタ両水系の分水界をなすマト・グロッソ高原を含む広大な州で,約90万km2に及ぶ(人口250万人,2000)。かつては1979年に分離された南部のマト・グロッソ・ド・スル州(約36万km2,人口208万人,2000)も含んでいた。州都はクイアバ,南部ではカンポ・グランデ。この地域全体を見ると,北部は熱帯雨林だが,中・南部はパラナ川とパラグアイ川の流域で,その東部の高原はセラードと呼ばれる熱帯草原をなし,カンポ・グランデ以南はカンポという草原地帯。牛の放牧を主とする農牧業が中心だが,近年南部の発展が著しい。鉄鉱,マンガン鉱をはじめダイヤモンド,金,銀等の埋蔵も推定される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マトグロッソ」の意味・わかりやすい解説

マト・グロッソ
まとぐろっそ
Mato Grosso

ブラジル中西部の州。面積90万6806.9平方キロメートル(1996)、人口250万4353(2000)で、人口密度は1平方キロメートル当り3人弱の人口希薄地域である。1979年、旧マト・グロッソ州が南北に分割され、北半はマト・グロッソ州、南半はマト・グロッソ・ド・スール州(面積35万8158.7平方キロメートル、1996。人口207万8001、2000)となった。州の大部分はマト・グロッソ高原で、南西の一部にパンタナール湿原を含む。州北部はアマゾン地方の森林の続きをなす熱帯季節林に覆われ、所々に米作地が散在している。中部の疎林(セラード)の原野およびパンタナール湿原はウシの粗放的牧畜地域をなす。州都は南アメリカ大陸の地理的重心といわれるクヤバ。

[松本栄次]

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