マハティール(読み)まはてぃーる(その他表記)Mahathir Mohamad

デジタル大辞泉 「マハティール」の意味・読み・例文・類語

マハティール(Mahathir bin Mohamad)

[1925~ ]マレーシアの政治家。医師から国会議員に転身し、1981年に第4代首相就任ルックイースト政策ブミプトラ政策を推し進めて同国の発展に尽力し、長期政権を維持した。2003年に退任したが、2016年に統一マレー国民組織(UMNO)を離党し、マレーシア統一プリブミ党(PPBM)を結成。2018年の選挙に勝利して首相の座に復帰。2020年2月、与党連合内の対立混乱により引責辞任

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マハティール」の意味・わかりやすい解説

マハティール
まはてぃーる
Mahathir Mohamad
(1925― )

マレーシアの政治家。1953年マラヤ大学(現、シンガポール大学)医学部卒業後、医務官となるが、のち、開業医に。1964年下院議員に初当選。1969年ラーマン首相と対立し統一マラヤ国民組織(UMNO)を追放されるが、1972年UMNOに復帰。1974年教育相、1976年副首相兼貿易相、1981年UMNO総裁、同年7月マレーシア第4代首相に就任。1986年より内相、1987年より法相兼務。日本や韓国に学び経済開発を進めようとするルック・イースト政策提唱。1990年12月に貿易ブロック構想、東アジア経済会議構想(EAEC)を提唱、波紋をよんだ。アジアの声の代弁者ともよばれる。長期にわたって政権を維持したが、2002年6月UMNO党大会において2003年に首相職等を辞任すると発表、2003年10月退任した。

 2017年には野党連合の議長となり、2018年の下院議員選挙で勝利し、2020年2月まで首相を務めた。

[編集部]

『大前研一著『アジア人と日本人 マハティールマレーシア首相との対話』(1994・小学館)』『マハティール・モハマド著、加藤暁子訳『アジアから日本への伝言』(2000・毎日新聞社)』『林田裕章著『マハティールのジレンマ 発展と混迷のマレーシア現代史』(2001・中央公論新社)』

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百科事典マイペディア 「マハティール」の意味・わかりやすい解説

マハティール

マレーシアの政治家。ケダ州出身のイスラム教徒。マラヤ大学医学部卒。開業医から1964年下院議員に当選。1969年落選したが,1974年に下院に復帰し,教育相となる。1976年副首相,1978年貿易産業相を兼任,1981年には統一マレー国民組織総裁,首相に就任。就任後まもなく〈ルック・イースト〉政策を提唱し,日本や韓国から学ぶ姿勢を強く打ち出し,またマレー人優遇の〈ブミプトラ政策〉を強調。1986年より内相を兼任し,1991年には〈ワワサン(プロジェクト)2020〉計画を発表。2020年までに先進国入りを目指すという目標を掲げ,自ら陣頭指揮にあたった。反欧米の姿勢が強く,1993年11月米国のシアトルで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議にはただ一人欠席。2003年引退し,副首相のアブドラに後事を託した。
→関連項目東アジア経済会議マレーシア

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マハティール」の解説

マハティール
Mahatir bin Mohammad

1925~

クダー州出身のマレー人政治家で,第4代マレーシア首相(在任1981~2003)。エドワード7世医学校在学中の1946年,統一マレー人国民組織(UMNO)に入党する。69年ラーマン首相を批判して除名されるが,72年に復党し,81年首相に就任した。マレー人を中心としたマレーシア社会の再編を意図したブミプトラ政策,経済の近代化を目的としたルック・イースト政策,先進国の仲間入りをめざすワワサン2020構想の推進に強力な指導力を発揮した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マハティール」の解説

マハティール
Mahathir Mohamad

1925〜  
マレーシアの政治家
1964年国会議員に当選。1965年より統一マレー国民組織(UMNO)の最高評議会委員をつとめるが,69年マラヤ民族主義の立場から指導部の対華人政策を批判して,UMNOから除名される。1972年復党,その後,教育相,副首相兼貿易相を歴任し,81年UMNO総裁,首相(在任1981〜  )に就任。日本・韓国に学べとする“ルック−イースト”政策を提唱。マレーシアの工業化を推進。また,マレー系国民を優遇する“ブミプトラ(土地っ子)政策”により,中国系・インド系国民との経済格差是正をはかる。

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