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マワーリー マワーリー mawālī

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マワーリー
マワーリー
mawālī

アラビア語マウラー mawlāの複数形で,一般には「主人,保護者」を意味し,また定冠詞を付して「神」をさすこともあるが,歴史上の用語としては逆に「保護を受ける劣った身分の者」をさす。イスラム前のアラブ社会では解放された奴隷の多くは完全な自由人にはなれず,もとの主人の保護下におかれた。

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世界大百科事典 第2版の解説

マワーリー【mawālī】

アラビア語マウラーmawlāの複数形。マウラーはコーランで,信者の保護者としての神を意味し,イスラム研究者ゴルトツィーハーはその本来の意味は親族であるという。前イスラム時代および初期イスラム時代のアラブの部族社会では,解放された奴隷は自由人になるのではなく,旧主人のマウラー(被護民)とされ,しばしばその家庭内にとどまった。征服戦争の時代には,解放された捕虜も自由人になるのではなく,分配を受けた旧所有者のマウラーとされ,その家の一員とされた。

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世界大百科事典内のマワーリーの言及

【ウマイヤ朝】より

…次のワリード1世(在位705‐715)の時,征服が再開されて同朝は最盛期を迎えた。以後,国家の創建以来続いていた政府とアラブ部族民の対立,アラブ諸部族間の反目,シーア派やハワーリジュ派の反政府活動,非アラブ・ムスリムのマワーリーの不満,ウマイヤ家一族内の対立などが相関しあい,帝国の支配体制は弛緩した。ヒシャームHishām b.‘Abd al‐Malik(691‐743。…

【書記】より

…【梅原 郁】
[イスラム社会]
 アラビア語で書記あるいは秘書をカーティブkātibとよび,軍人に対して〈筆の人〉と総称され,イスラム諸王朝の技術官僚として活躍した。公文書の作成は,ムハンマド時代以来一貫してアラブ人によって行われたが,地方の行政文書や租税台帳は,初期の時代には中世ペルシア語,シリア語,コプト語などをよくする現地人の非イスラム教徒によって作成され,8世紀以後,ディーワーンのアラブ化とイスラム化につれて現地人マワーリーとアラブ人ムスリムの書記が増大した。アッバース朝(750‐1258)時代になって官僚機構が発達すると,ペルシア人マワーリーが有力な書記階級を形成し,シュウービーヤ運動やアダブ(アラブの言語文化全体,教養を表す)文学の担い手となる者もあった。…

【食客】より

居候【川勝 義雄】
[アラブ社会]
 アラブ社会では7世紀末から,総督その他の有力者が私的軍団を持ち始めた。兵士の大部分は解放奴隷,逃亡農民からなる非アラブのマワーリーであったが,上層部には有力者と同じ部族に属するアラブのアスハーブaṣḥāb(仲間)および選ばれたマワーリーがおり,ともに有力者の最も信頼する腹心の部下だった。有力者はつとめてアスハーブおよび選ばれたマワーリーと食事をともにし,財貨を分け与え,必要の際の忠誠を期待した。…

【ムフタールの乱】より

…アリーの子フサインの血の復讐を求め,685年10月,ウマイヤ朝の総督を追放しクーファに政権を樹立し,一時はバスラを除くイラク南半とペルシア南西部を支配した。フサイン殺害に関係した者を処刑する一方,勢力拡大のため,これまでアラブの特権であったアター(俸給)受給の権利をマワーリーにも及ぼし,彼らを兵力として利用した。これがクーファの貴族層アシュラーフの反感・離反を招き,イブン・アッズバイルの弟ムスアブの率いる討伐軍に敗れ戦死した。…

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