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ミスル al-Miṣr

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ミスル
al-Miṣr

エジプトまたはカイロをさすアラビア語。元来ミスルはアラビア語で「町」を意味する。『創世記』に登場するノアの孫にあたるミズライムの名によって名づけられたという。7世紀前半,イスラム・アラブ軍が西アジア,北アフリカを征服したとき,各地に軍事都市を建設してアラブ軍戦士を駐屯させた。イラクのクーファバスラエジプトフスタートなどがそれで,これがミスルと呼ばれた (複数形アムサール amṣār) 。またエジプトはアラブによってイスラム前からミスルと呼ばれており,アラブ征服以後はエジプトのアラビア語での国名となった。 969年カイロ市 (ミスル・アルカーヒラ) が建設され略称としてミスルが用いられるようになったのち,フスタートのほうは古ミスルと呼ばれるようになり,やがて首都カイロの別名がエジプト全体にも用いられるようになった。

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世界大百科事典 第2版の解説

ミスル【miṣr】

イスラム初期に征服地に建設された軍営都市。複数形はアムサールamṣār。アラブ・ムスリムの勢力が,アラビア半島の外へと拡大し各地を征服した時に,征服地の統治の拠点として,またその後の征服活動の基地として軍営都市が建設された。イラクのバスラクーファ,エジプトのフスタート,チュニジアカイラワーンなどは,新たに建設されたミスルの代表的な例である。またシリアのダマスクスヒムスでは,既存の都市の一部を,住民を移転させてアラブ軍の駐屯地とした。

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世界大百科事典内のミスルの言及

【都市】より


[イスラム都市の形成]
 中世アラブの地理学者は,一地方の中心都市をカサバqaṣaba,それ以外の中小都市をマディーナmad‐īnaと定義する。しかし一般には規模の大小にかかわりなく,むらに対して経済・文化のかなめとなる都市を,アラブ世界ではマディーナあるいはミスルmiṣrといい,イランやトルコではシャフルshahrと呼ぶ。イスラム時代の都市には,ダマスクスやアレクサンドリアのように古代オリエントの都市をそのまま継承したものもあれば,イラクのバスラやクーファ,あるいはエジプトのフスタートのように大征服の過程で軍営都市(ミスル)として建設されたものもあった。…

【アラブ】より

…イスラムによって民族的アイデンティティを与えられたアラブは,ムハンマドの没後,カリフの指導のもとに大規模な征服を行い,大帝国を建設してその支配者集団となった。同時に多数のアラブ戦士が家族を伴って征服地に移住し,そこに築かれた軍営都市(ミスル)に住みついた。ウマイヤ朝の初期,アラビア半島から征服地に移住したアラブの数は最低に見積もっても130万に達したと推定され,彼らの住みついた軍営都市は周囲の非アラブ住民のアラブ化・イスラム化の拠点となった。…

【エジプト】より

…古代エジプト人は自国のことをケメトKemet(〈赤い〉砂漠に対する〈黒い〉土の国の意),タ・ウイTa‐wi(上エジプトと下エジプトの〈二つの国〉の意)などと呼んだ。ヘブライ語ではミツライムMiṣrayimと記され,現代アラビア語での名称ミスルMiṣrにつながる。 北アフリカの砂漠地帯を貫いて北流するナイル川がエジプトの生命線である。…

【カイロ】より

…アラビア語ではカーヒラal‐Qāhiraで,〈勝利者〉の意。ミスル・アルカーヒラMiṣr al‐Qāhiraあるいは単にミスルMiṣrともよばれた。ミスルは〈軍営都市〉もしくは〈エジプト〉をも意味する。…

【都市】より


[イスラム都市の形成]
 中世アラブの地理学者は,一地方の中心都市をカサバqaṣaba,それ以外の中小都市をマディーナmad‐īnaと定義する。しかし一般には規模の大小にかかわりなく,むらに対して経済・文化のかなめとなる都市を,アラブ世界ではマディーナあるいはミスルmiṣrといい,イランやトルコではシャフルshahrと呼ぶ。イスラム時代の都市には,ダマスクスやアレクサンドリアのように古代オリエントの都市をそのまま継承したものもあれば,イラクのバスラやクーファ,あるいはエジプトのフスタートのように大征服の過程で軍営都市(ミスル)として建設されたものもあった。…

※「ミスル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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