ミツバツツジ(読み)みつばつつじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミツバツツジ」の意味・わかりやすい解説

ミツバツツジ
みつばつつじ / 三葉躑躅
[学] Rhododendron dilatatum Miq.

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の落葉低木。高さ2~3メートル。葉は枝先に3枚が輪生状につき、菱形(ひしがた)状広卵形で長さ4~7センチメートル、先は短くとがり、初め毛があるが、のちにほとんど無毛になる。4月、葉に先だって、枝先に紅紫色花を開く。花冠は漏斗(ろうと)状で深く5裂し、径3~4センチメートル、裂片は楕円(だえん)形で平開する。雄しべは5本。ほかのミツバツツジ類はほとんど10本あるので、区別しやすい。花糸と花柱に毛がなく、子房に粒状の腺(せん)がある。蒴果(さくか)は卵状円柱形で長さ約9ミリメートル、褐色に熟す。低山地日当りのよい、やや乾燥した所に生え、関東地方から東海地方、滋賀県まで分布する。春早く開花するので、庭木や切り花として観賞する。

小林義雄 2021年5月21日]


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百科事典マイペディア 「ミツバツツジ」の意味・わかりやすい解説

ミツバツツジ

ツツジ科の落葉低木。関東,東海地方の山地にはえる。高さ2〜4m,芽は鱗片に包まれ,粘質となる。葉は3枚,枝先につき,広卵形で上面には腺状の突起があり,下面は白色を帯び,葉脈が著しい。4〜5月,葉の出る前に紅紫色で径3〜4cmの花を開く。おしべは5本で花柱とともに毛がない。腺毛や毛の変異によってトサノミツバツツジほかいくつかの変種が知られ,種としては北海道南部〜九州の太平洋側に分布する。近縁トウゴクミツバツツジは下面の主脈上に褐色の毛があり,花柱の下部や子房には腺毛が多く,おしべは10本。近畿地方以北の本州太平洋側に分布する。
→関連項目ツツジ

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世界大百科事典(旧版)内のミツバツツジの言及

【ツツジ(躑躅)】より

… ツツジ亜属は大きく3群に大別される。第1群は花芽と葉芽との区別がなく,一つの芽の中から若葉と花が出てくるもので,ヤマツツジ節とミツバツツジ節とがある。前者の葉は半常緑性で,多くは枝にまばらにつき,春に伸びて冬に落ちる春葉と,秋に伸びて冬を越す秋葉とがある。…

※「ミツバツツジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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