スペイン南部,コルドバにあるモスクで,スペインのイスラム建築の傑作。アブド・アッラフマーン1世により758年に着工,3年後にヒシャーム1世が完成させた。〈オレンジの木の中庭〉(73m×36m)とその南側にあるアラブ・タイプの多柱式礼拝堂(柱間数は間口が11間,奥行きが12間で,規模は73m×38m)からなる長方形プランの石造建築で,砦のように厚く高い壁に囲まれ,サーマッラーの大モスクに次ぐ雄大な規模をもつ。その後,987年まで4次にわたり増築が行われ,最終的には136m×186mの大規模な建物になったが,調和のとれたスタイルは失われていない。このモスクの大きな特色は,大屋根を支えるために円柱にピアを重ね,その上に白い石と赤煉瓦による縞文様の2層アーチ(馬蹄,半円,多弁形)を載せている点,また,モザイクやしっくい細工で華麗に装飾されたミフラーブが八角形プランの小房に設けられている点である。1236年のカスティリャ王フェルナンド3世の再征服によってキリスト教の大聖堂に転用されたが,さらに1510-1607年には中央に十字形プランのゴシック風の教会堂が設けられた。
執筆者:杉村 棟
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(片岡瑠美子)
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…スペイン・イスラム建築(8~15世紀)も戦乱によって破壊されたものが多いが,その代表作が今日に伝えられている。まず後ウマイヤ朝の遺産を代表するコルドバのメスキータmezquita(8~10世紀)は,平面が136m×186m,1000本の円柱が林立する巨大な祈りの殿堂で,ローマ時代の水道橋にヒントをえた二重アーチ構造をとるなど,スペイン・イスラム建築の独自性を見せている。偶像崇拝を禁ずるイスラム美術はアラベスク文様を発展させたが,後期コルドバ様式で豊かさを加えた装飾性は,続く北アフリカ系のムワッヒド朝によって発展し,セビリャのヒラルダGiraldaの塔(12世紀)にその優雅な結晶を見せている。…
…人口27万9386(1981)。グアダルキビル(古名バエティス)川北岸に立地し,同川にかかるローマ期の橋やイスラム期の壮大なモスク(スペイン語名メスキータ)で知られる。セビリャとマラガに次ぐアンダルシア第3の都市だが,近代産業と現代的な活気に乏しい。…
…スペイン・イスラム建築(8~15世紀)も戦乱によって破壊されたものが多いが,その代表作が今日に伝えられている。まず後ウマイヤ朝の遺産を代表するコルドバのメスキータmezquita(8~10世紀)は,平面が136m×186m,1000本の円柱が林立する巨大な祈りの殿堂で,ローマ時代の水道橋にヒントをえた二重アーチ構造をとるなど,スペイン・イスラム建築の独自性を見せている。偶像崇拝を禁ずるイスラム美術はアラベスク文様を発展させたが,後期コルドバ様式で豊かさを加えた装飾性は,続く北アフリカ系のムワッヒド朝によって発展し,セビリャのヒラルダGiraldaの塔(12世紀)にその優雅な結晶を見せている。…
※「メスキータ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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