家庭医学館 の解説
めらのーまあくせいこくしょくしゅ【メラノーマ(悪性黒色腫) Malignant Melanoma】
メラニン色素をつくっている色素細胞のがんで、皮膚が黒褐色に変わることで気づくことが多いものです。とても転移しやすく、悪性度が高いため、注意が欠かせません。
この病気は白色人種に多くみられ、強い日光(紫外線)にくり返し曝(さら)されることが原因の1つと考えられています。
日本人では足底や爪(つめ)にできることが多く、その原因はけがなどの機械的な刺激ではないかと考えられてきました。最近は背部や四肢(しし)にできる人が増えてきており、白色人種同様、紫外線の影響によるとみられています。
●自己発見法
ふつうの人にはなかなか区別しにくいのですが、大きさが1cm以上の黒褐色の不規則な形をしており、色に濃淡差が目だつ病変ができたら、すぐに皮膚科専門医を受診し、みてもらいましょう。
なお、黒褐色ばかりでなく、紅色のメラノーマもまれにあります。
爪のメラノーマは、爪に濃淡差のある色素沈着が幅広くでき、進行すると爪が変形したり破壊されてしまいます。
メラノーマの診断には皮膚科専門医の診察が必要です。皮膚が黒くなる病変にはメラノーマのほかに、いわゆるほくろ(母斑(ぼはん))や脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)など、良性の疾患や症状がたくさんあるからです。
[治療]
手術治療が中心です。病変部をすべて摘出し、場合によってはリンパ節を郭清(かくせい)(除去)します。早期の段階のものならば完治しますが、進行したものはリンパ節や他の内臓に転移している危険があります。
転移した進行期のメラノーマには、化学療法、免疫療法(めんえきりょうほう)などが行なわれます。効果があることもありますが、大きな期待はできないことも少なくありません。
●ほくろからメラノーマが生じるか
俗にほくろといわれる病変の多くは色素細胞母斑(しきそさいぼうぼはん)です。ほくろからメラノーマができるという説が昔からありますが、最近はその説に反対する研究者もいて、まだ検討が終わっていません。
●メラノーマの厚さの重要性
メラノーマは、転移しやすい、とてもこわいがんですが、転移がおこるかどうかを予測するのにもっとも役だつのがその厚さです。厚さが1mm未満の早期病変はほとんど転移しません。しかし、厚さが4mm以上になると転移する確率が高くなります。