メーガン法(読み)めーがんほう(英語表記)Meagan Act

知恵蔵 「メーガン法」の解説

メーガン法

1994年、ニュージャージー州で起きた少女メーガン・カンカ(当時7歳)の暴行・殺害事件の被告男性に、女児暴行で2度にわたる逮捕歴があったことがきっかけになり、同年10月に同州で成立した、常習性犯罪者から子供を守ることを目的とした性犯罪防止法案。被害者名にちなんでメーガン法と名付けられた。性犯罪で有罪判決を受けた者を15年間、住所などを登録させ、監視可能な状態に置くのみならず、当該人物の住所、犯罪歴などの情報を、ウェブサイト等で公開して、地域社会に通知していくことを骨子とする。犯罪の深刻さ、犯罪歴などによる危険度に応じて、情報公開の段階を決定する。こうした通知システムは全州に広がり、2005年には、登録者の州を越えた移動に対応できるように、全米レベルのデータベース化推進が決定され、すでに大半の州がリンクしている。05年、フロリダ州など3州で、メーガン法と同様、被害者の名を冠した「ジェシカ法」が成立した。ジェシカ法は、悪質な性犯罪の厳罰化(最低刑を25年とする)と、受刑者に仮出所後、一定期間(5〜10年)、GPS(全地球測位システム)の端末足首に装着させることによる、監視体制強化を柱とする。こうした法体制の整備が、受刑者の社会復帰の道を閉ざす、人権侵害にあたるとする意見も一方にあり、その実効性ともども、更正プログラムの再検討などが議論を呼んでいる。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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