情報公開制度(読み)じょうほうこうかいせいど

精選版 日本国語大辞典 「情報公開制度」の意味・読み・例文・類語

じょうほうこうかい‐せいど ジャウホウ‥【情報公開制度】

〘名〙 行政機関の持っている情報を国民が自由に知ることができるように、行政機関に公開を義務づける制度。

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デジタル大辞泉 「情報公開制度」の意味・読み・例文・類語

じょうほうこうかい‐せいど〔ジヤウホウコウカイ‐〕【情報公開制度】

行政機関などが保有している情報を、国民が自由に知ることができるよう、公開を義務づける制度。国立公文書館法情報公開法などに基づく。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「情報公開制度」の意味・わかりやすい解説

情報公開制度
じょうほうこうかいせいど

広義では、行政機関などが保有する情報を外部に公にするすべての制度をいい、狭義では、行政機関などが保有する情報を請求に応じて開示することを行政機関などに義務づける制度をいう。一般に「情報公開制度」「情報公開法」とよばれているものは狭義のものを中心としている。

堀部政男 2015年11月17日]

世界の情報公開法

世界的にみると、たとえば、スウェーデンでは最初の法律が早くも1766年に制定(1949年新法制定)されたが、アメリカでは連邦レベルで1966年(情報自由法の制定、その後大幅な改正)、デンマークノルウェーでは1970年、フランスやオランダでは1978年、オーストリアでは連邦レベルで1987年、カナダ、オーストラリアニュージーランド(これら3国は日本と同じように議院内閣制をとっている)では1982年(カナダ、オーストラリアは連邦レベル)に制定された。その後、イタリア1990年、スペインやハンガリー1992年、ベルギー1994年、韓国1996年、タイ1997年、イギリス2000年、ドイツ2005年など、情報公開法制定国は増大し、その範囲は、中南米やアフリカにも拡大してきている。

[堀部政男 2015年11月17日]

日本の情報公開への動き

日本では、1970年代後半にまず地方自治体で関心が寄せられ、1979年(昭和54)に全国に先駆けて組織的検討に着手した神奈川県では、1982年10月に情報公開条例が制定された(山形県金山(かねやま)町ではこれよりも早く同年3月に制定)。その後、情報公開条例などの制定が活発化し始め、総務省調べでは、2014年(平成26)10月の時点で条例を制定しているのは、都道府県47団体(100%)、政令指定都市20団体(100%)、市区町村1721団体のうち1719団体(99.9%、未制定団体は2)、一部事務組合1601団体のうち760団体(47.5%)、広域連合114団体のうち101団体(88.6%)である。

 国レベルでは、地方自治体における関心の高まりを受けて、政府は、1979年12月に設置された「情報公開問題に関する連絡会議」などで検討を重ね、1980年5月27日には「情報提供の改善措置等について」を閣議了承した。一方、当時の野党は、1980年から1981年にかけて、国会に情報公開法案を提出したが、法律の制定には至らなかった。その後、政府は1991年12月11日、情報公開問題に関する連絡会議申し合わせという形で「行政情報公開基準」を策定した。

[堀部政男 2015年11月17日]

情報公開法の制定

1993年8月に細川連立内閣が成立してから情報公開法に対する関心が国レベルで急速に高まり、1994年12月に発足した行政改革委員会の下で1995年3月から行政情報公開部会が検討を進め、1996年11月1日、「情報公開法要綱案」を発表した。行政改革委員会は同年12月16日、「情報公開法制の確立に関する意見」を総理大臣に具申した。政府は、1998年3月27日、国会に情報公開法案を提出したが、3回の国会で継続審議となった。その政府提出法案は、衆議院と参議院でそれぞれ一部修正され、1999年5月7日に衆議院でようやく可決、同年5月14日に公布された。

 情報公開法(正式名称は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」。平成11年法律第42号)は、2001年4月1日に施行された。その後改正され、2003年5月30日公布・2005年4月1日施行の整備法(「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)によって、情報公開法の「第3章 不服申立て等」の「第2節 情報公開審査会」および「第3節 審査会の調査審議の手続」が、この法律と同じ年月日に公布・施行された「情報公開・個人情報保護審査会設置法」の一部となった。そのため、情報公開法は、1999年制定当初の法律とは異なるところがある。

 また、独立行政法人等の情報公開について、1999年7月に行政改革推進本部に設けられた特殊法人情報公開検討委員会は、2000年7月27日、政府に対して意見を提出した。この意見は、基本的には、情報公開法と同趣旨の法律を提言しているが、情報公開法の中核をなす開示請求権制度とともに、情報提供制度の整備をとくに掲げている。この提言に基づく独立行政法人等情報公開法(正式名称は「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」。平成13年法律第140号)は、2001年秋の臨時国会で可決成立し、2002年10月1日から施行された。

 これらの法律と密接に関連しているのが、公文書管理法(平成21年法律第66号)である。これは、「公文書等の管理に関する法律」の略称で、このような法律は、情報公開法論議のときにもその必要性が認識されていた。「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の最終報告(2008年11月4日)を受けて、2009年3月3日に法案が閣議決定され、国会に提出された。同年6月24日本会議で可決成立、7月1日法律公布、2011年4月全面施行された。公文書管理法は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」(第1条)と、理念をうたっている。制定当初は6章34条と附則からなっていた。

[堀部政男 2015年11月17日]

情報公開法の概要

2003年の改正後、数回にわたり改正された情報公開法は、4章(総則・行政文書の開示・不服申立て等・補則)26条で構成されている。

(1)目的 「この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。」(1条)
(2)請求権者 すべての人(たとえば、アメリカ在住のアメリカ人も請求権を行使できる)
(3)対象機関 会計検査院、警察庁などを含むすべての行政機関
(4)対象文書 組織共用の行政文書(電磁的記録も含む)
(5)開示義務 不開示情報(個人情報、法人等情報、国の安全等情報、公共の安全等情報、審議・検討等情報、事務・事業情報)を除き、開示義務を負う。行政機関の長は開示請求がなされてから30日以内に、開示するか否かの決定を行わなければならない。

(6)不服申立て等 開示請求に対して全部不開示、部分不開示の決定等があり、それに不服である場合には、行政不服審査法による不服申立てをすることができる。この申立てに対する裁決または決定をすべき行政機関の長は、申立てが不適法で却下する場合などを除き、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。

(7)情報公開訴訟 行政事件訴訟は全国に八つある高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所に提起できる。

(8)行政文書管理 公文書管理法による。

[堀部政男 2015年11月17日]

情報公開法制定の意義

情報公開法制定の意義はきわめて大きい。第一は世界における情報公開法制定国の数を増大させるという意義である。先進国の多くの国で情報公開法がすでに制定されている。日本も制定国の仲間入りができるようになった。第二は情報の開示請求権が認められたという意義である。従来、報道機関の役割とからんで国民が十分な情報を受け取ることができるための「知る権利」が議論されてきたが、情報公開法の制定により、国の行政機関に対して、国民は権利として情報公開の請求ができるようになり、行政機関は開示義務を負うことになった。第三は行政改革的意義である。日本では情報公開は行政改革の一環として論じられてきたが、自治体で情報公開条例を利用し、不正支出などが明らかにされているように、この制度によって全般的な行政改革が促される。第四は情報公開条例制定を促進させる意義である。日本では1980年代初頭に自治体が情報公開条例を制定し始めて先導した反面、未制定の自治体のなかには国の動きをみて対処するといってきたところがあった。しかし、国で立法化されたことにより、もはや言い訳ができなくなった(情報公開法制定後の約1年で約500自治体が条例等を制定)。第五は行政への監視、行政への参加意識を高揚させるという意義である。法の目的規定のなかには入らなかったが、要綱案では「行政の監視・参加」は、今回の法律にある「説明責任」(アカウンタビリティ)とともに、重要な理念であった。規定こそないが、そのような意識を高める役割が期待される。第六は情報公開意識を拡大させる意義である。日本で行政の情報公開に関する議論が盛んになるにつれて、立法府や裁判所の情報公開、さらには民間部門の情報公開も進むようになり、全体的に情報公開意識が広がってきている。

[堀部政男 2015年11月17日]

情報公開・個人情報保護審査会

前述したように、審査会については、1999年5月制定の当初の情報公開法では、第3章第2節に情報公開審査会として規定されていたが、2003年の「情報公開・個人情報保護審査会設置法」(平成15年法律第60号。以下「設置法」という)成立後は、名称が「情報公開・個人情報保護審査会(以下「審査会」という)」となり、設置法に基づくものになった。

 審査会は、委員15人をもって組織する(設置法第3条第1項)。委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する(同第4条第1項)。審査会は、その指名する委員3人をもって構成する合議体で、部分開示を含む非開示に対する不服申立てに係る事件について調査審議する(同第6条第1項)。換言すれば、部会制がとられており、2015年の時点で5部会ある。

 審査会は、第三者的立場から、公正かつ中立的に調査審議を行う。審査会の調査権限は下記のとおりである。(1)審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁(行政機関の長、独立行政法人等)に対し、対象となる文書等の提示を求めることができる。この場合、何人も、審査会に対し、提示された文書等または保有個人情報の開示を求めることができない(インカメラ審理=非公開審理)。諮問庁は、この求めを拒むことができない。(2)審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、非開示の文書と非開示の理由を審査会の指定する方法により分類または整理した資料(ボーン・インデックスVaughn index)の提出を求めることができる。(3)審査会は、不服申立人や諮問庁などに意見書または資料の提出を求めること、適当と認める者に鑑定を求めること、その他必要な調査をすることができる。

 諮問件数およびそれに関する答申は、非常に多い。たとえば、情報公開法施行2年目の2002年度の行政機関については、新規諮問件数696件、答申件数540件。2013年度の行政機関については、新規諮問件数642件、答申件数501件、また、独立行政法人等については、新規諮問件数94件、答申件数71件であった。

[堀部政男 2015年11月17日]

情報公開法見直しの動向

情報公開法の制度運営の検討結果

情報公開法は、附則で情報公開法の施行後4年をめどとして見直すことを規定している。その見直しが「情報公開法の制度運営に関する検討会」(総務副大臣が主宰)で2004年4月から行われ、2005年3月にその報告がまとめられた。報告書は、まず全体的な状況について「制度創設以降、全体としては、公正で民主的な行政の実現のための基盤としての情報公開法の仕組みが定着し機能しつつあるが、一部には、事案の処理に長期化を要しているもの等が見られる」とし、また「主な改善措置等」として、次のような事項を掲げた。

〔1〕的確な開示・不開示の判断の確保 情報公開審査会の答申や判決の蓄積を活用し、審査基準を詳細化。

〔2〕開示決定や審査会への諮問など事案処理の遅滞の解消 (1)進行管理の徹底等により、開示決定等の期限を遵守、(2)目標的な処理期間の設定、長期間を要した事案についての公表(年1回)等により、情報公開審査会への諮問の早期化。

〔3〕開示の方法・手数料の見直し カラー複写機、スキャナー等、開示請求者のニーズを踏まえ政令を改正。

〔4〕適正な行政文書管理の徹底 (1)職員を対象とした研修等により、適正な文書管理の徹底、(2)膨大な行政文書を適正・効率的に管理するため、総合的な文書管理システムの整備を推進。

〔5〕引き続き検討すべき課題 (1)情報公開訴訟に係る裁判管轄のあり方、(2)情報公開訴訟へのインカメラ審理手続の導入。

[堀部政男 2015年11月17日]

情報公開法改正案

2009年9月に政権の座についた民主党は、2010年4月20日に行政透明化検討チームを結成、2010年8月24日「行政透明化検討チームとりまとめ」を行った。これに基づく「行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案」は2011年4月22日に国会に提出された。この法案の内容は、(1)目的規定に「国民の知る権利」の保障を明示、(2)国の安全が害されるおそれ、公共の安全・秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報を不開示とする際に「行政機関の長が認めるにつき相当の理由がある」の「相当の」を「十分な」に改め、(3)開示期限を請求のあった日から30日としているのを14日以内に短縮、(4)裁判官が対象文書を見分し検討できるインカメラ審理手続の導入、などであったが、2012年11月16日の衆議院の解散に伴い廃案となった。民主党は政権の座を失ったが、2013年10月25日ふたたび「行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案」を議員立法で提出している(第185回臨時国会、衆法第1号。閉会時に閉会中審査とする旨議決。2014年9月29日衆議院で審査未了)。

[堀部政男 2015年11月17日]

ディスクロージャー

ディスクロージャーは、通常は、投資家を保護するために、株式などの有価証券を発行する企業の財務内容などの情報を公開・開示することをいう。日本では、開示すべき情報は金融商品取引法(旧、証券取引法)などで定められている。情報公開法の制定を機に、このことばは、上記の内容よりも広義にとらえられ、広く情報を公開することを意味するようになってきた。

[堀部政男 2015年11月17日]

国会の情報公開制度

日本国憲法で、国会の「両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる」(第57条第1項)、また、「両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない」(同第2項)とされている。

 現在では、本会議および委員会は、ケーブルテレビやインターネット審議中継などにより、広く一般に公開され、また、第1回国会(1947年5月)以降のすべての会議録がインターネットを通じて提供されている。

 また、国会議員の資産の状況等は、1992年制定の国会議員資産公開法(「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律」平成4年法律第100号)によって公開されている。

[堀部政男 2015年11月17日]

衆議院

国会は、情報公開法の対象となっていないことから、衆議院事務局は、情報公開法の趣旨を踏まえ、国民に対する説明責任を果たすために、「衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程」で議院行政文書の開示の取扱いについて規程等を定め、2008年4月1日から情報公開制度を運用している(2014年1月、制度の一部を改正)。

 規程に定められている「議院行政文書」とは、事務局の職員が行政事務の遂行上作成しまたは取得した文書、図画および電磁的記録であるので、本会議や委員会等の会議の運営や立法活動・調査活動にかかわる文書は開示対象外である。開示の申出のあった文書の全部または一部の不開示に苦情がある場合には、事務局の不開示の連絡があった日の翌日から60日以内に、書面により「苦情の申出」を行うことができる。苦情の申出があった場合には、事務総長が「衆議院事務局情報公開苦情審査会」に諮問し、その答申を受けて扱いを決定する。

 2014年度の衆議院事務局情報公開の実施状況は、開示申出件数18件、開示等の件数16件、全部または一部の不開示に対する苦情申出件数3件などである。

[堀部政男 2015年11月17日]

参議院

参議院事務局は、その保有する情報のいっそうの公開を図り、国民に対する説明責任を果たすために、2011年3月30日「参議院事務局の保有する事務局文書の開示に関する事務取扱規程」(事務総長決定)等を設け、2011年4月1日から情報公開制度を運用してきている。これは、衆議院の制度に類似している。

[堀部政男 2015年11月17日]

裁判所の情報公開制度

裁判所は、情報公開法の対象とされていないが、情報公開法の趣旨を踏まえ、国民に対するアカウンタビリティ(説明責任)を果たすために、司法行政文書の開示の取扱いについて「最高裁判所の保有する司法行政文書の開示等に関する事務の取扱要綱」(2001年4月1日実施、2006年1月1日新要綱実施)、「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の基本的取扱いについて(依命通達)」(2001年4月1日実施、2006年1月1日新通達実施)等を定め、情報公開制度を運用している。

 2015年7月1日以降の司法行政文書の開示等の申出については、裁判所の不開示等の判断に苦情がある場合、苦情の申出先が最高裁判所に統一され、最高裁判所に設置された情報公開・個人情報保護審査委員会に当該不開示等の判断の当否に関する諮問を行い、その答申を尊重した対応を行うなど、新しい苦情の申出制度が適用されることとなった。

 内容は、行政機関情報公開法と同様な制度である。なお、裁判所の制度は、情報公開とともに、個人情報保護も対象としている。

[堀部政男 2015年11月17日]

『堀部政男編『情報公開・個人情報保護』(1994・有斐閣)』『堀部政男編著『情報公開・プライバシーの比較法』(1996・日本評論社)』『行政改革委員会事務局監修・行政改革委員会行政情報公開部会『情報公開法要綱案(中間報告)』(1996・第一法規)』『行政改革委員会事務局監修『情報公開法制』(1997・第一法規)』『宇都宮深志編著『情報公開制度の新たな展望 公開情報の供給システム』(2000・行政管理研究センター)』『根岸哲・井上典之監修、神戸大学法政策研究会編『法政策学の試み 法政策研究 第7集 特集・情報公開制度』(2005・信山社出版)』『宇賀克也著『情報公開の理論と実務』(2005・有斐閣)』『宇賀克也著『新・情報公開法の逐条解説』第6版(2014・有斐閣)』『宇賀克也著『逐条解説 公文書等の管理に関する法律』第3版(2015・第一法規)』

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百科事典マイペディア 「情報公開制度」の意味・わかりやすい解説

情報公開制度【じょうほうこうかいせいど】

知る権利は,一般的・抽象的なものであるから,各人にどのような内容の権利を保障するかは,法律などにより具体的に規定されなければならない,としてつくられた制度が情報公開制度である。この制度の目的は政府などの公的機関の保有する情報(公的情報)の開示であって,個人や私的企業の情報(私的情報)を対象とはしない。政府に情報開示を義務づけた情報公開法としては,1967年に施行されたアメリカの情報自由法があり,以後欧米に広まった。日本では,地方自治体レベルでは,1970年代後半より情報公開が条例化されたが,国政レベルでは遅れて,1999年にようやく情報公開法(正称〈行政機関の保有する情報の公開に関する法律〉)が制定された。本法は何人に対しても行政文書の開示請求権を認め,原則として開示の考え方をとるが,個人情報・法人情報などについては例外を設け,また防衛・外交・犯罪捜査などにかかわる情報については,一定の場合には不開示にできると定めている。→アクセス権個人情報保護法
→関連項目官官接待行政裁量

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