シナノキ科(APG分類:アオイ科)ツナソ属の野菜で、原産地は中国大陸南部である。タイワンツナソともいう。東南アジアから地中海沿岸、アフリカ、エジプトで好まれている。草丈25~30センチメートルで、葉はシソに似た長楕円(ちょうだえん)形の単葉で、先はとがっている。若い葉、茎を食用にする。生葉を刻むとオクラのような粘りがあり、くせがなく、かすかな甘味がある。昔アラビアの王様が内臓の病気になったとき、モロヘイヤのスープを食べて元気になったという話により「マリク(王様)のスープ」とよばれていた。また古代エジプトでもすでに食用とされていたが、日本に入ってきたのは1980年代である。きわめて栄養価が高いために健康野菜として注目を集めている。カルシウム(ホウレンソウの9倍)、カロチン(ホウレンソウの4.6倍)がとくに多く、ほかにカリウム、ビタミンB2、C、E、鉄なども豊富である。旬(しゅん)は7~9月で冬場は岩手産の水耕栽培物が出回っている。茹(ゆ)でてから細かく刻んでスープにしたり、おひたしにする。また生葉を天ぷら、炒(いた)め物にするほか、粉末状にして小麦粉と混ぜ、パン、麺(めん)などにした商品もある。
[田中伶子 2020年4月17日]
『辻調理師専門学校監修『料理食材大図鑑 マルシェ』(1995・講談社)』▽『『食材図典』(1995・小学館)』▽『主婦の友社編集部編『料理食材大事典』(1996・主婦の友社)』
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