モーメントマグニチュード(英語表記)moment magnitude

デジタル大辞泉 の解説

モーメント‐マグニチュード(moment magnitude)

地震の破壊エネルギーの大きさを表す尺度。また、その数値。地震を起こした断層運動の強さから算出する。地震計の針の揺れから算出するマグニチュードよりも地震そのものの規模を正確に表す。記号Mw →地震モーメント

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

モーメントマグニチュード
moment magnitude

地震の大きさを表すマグニチュード一種。マグニチュードは地震の震源の規模を表すスケールであるが,従来のマグニチュードの定義は観測される地震波振幅をもとに経験的につくられた尺度であったため,断層の規模との関係があいまいであった。またマグニチュード7から8をこえるような規模の大きい地震では,地震の規模に見合うだけマグニチュードの値が大きくならず頭打ちになるという問題が指摘されていた。 1960年代に断層のずれと放射される地震波の関係が物理数学的に明らかになった。それによると地中の断層のずれによる変動は,大きさの等しい直交する2対の偶力が震源に働いたときの変動に等しい。地震学者の安芸敬一は,この偶力のモーメントが断層の面積と平均的なずれの量の積に比例することを示し,地震モーメント (Mo) と名づけた。地震モーメントは断層の規模を表すスケールである。地震学者の金森博雄は 1977年に地震モーメントを基準にしたマグニチュードであるモーメントマグニチュード (Mw) を提案した。モーメントマグニチュードは巨大地震にいたるまで断層の面積と断層面でのずれの大きさを反映した物理的スケールである。 2005年現在,これまでに観測された最大のモーメントマグニチュード地震は 1960年のチリ地震 (Mw9.5) である。

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知恵蔵 の解説

モーメント・マグニチュード

地震モーメントの大きさをマグニチュード(M)に換算したもの。1977年に金森博雄が導入。地震を起こした断層運動の規模に関係するので大地震の規模の表現に適しており、定義が明確なので国際的に広く使われている。地震モーメントとは、発震機構を2組の偶力で表現した時にその偶力の大きさを指すもので、66年に安芸(あき)敬一が導入。

(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モーメントマグニチュード
もーめんとまぐにちゅーど

マグニチュード

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世界大百科事典(旧版)内のモーメントマグニチュードの言及

【マグニチュード】より

…世界的には浅い地震については,グーテンベルクB.Gutenbergによる表面波マグニチュードMS,あるいはバネークJ.Vaněkほかによる表面波マグニチュード(これは上記のMSより平均0.2ほど大きい値となる),またはグーテンベルクによる実体波マグニチュード(広帯域地震計によるmBと短周期地震計によるmbがあり,両者はかなり違った値となる)などが広く使われている。なおきわめて大きい地震については,上記のマグニチュードはみな飽和してしまう(地震が大きくなってもマグニチュード値は大きく決まらない)ため,この欠点をもたないものとして,金森博雄によるモーメント・マグニチュード(Mw)が使われる。深い地震については,グーテンベルクの実体波マグニチュードが広く使われている。…

※「モーメントマグニチュード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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