チリ地震(読み)ちりじしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チリ地震」の意味・わかりやすい解説

チリ地震
ちりじしん

南アメリカ、チリでおこる地震。チリ、ペルー沖には、マグニチュード(M)8~9の巨大地震が高い頻度で発生する。これらの地震の特徴は、本震が大きいこと、大きい前震を伴う場合があること、大津波の発生を伴うことで、大津波は震源域ばかりでなく太平洋諸地域に大被害を及ぼす。こうした津波は日本の約7時間前にハワイを通過するので、ハワイ島での観測によって津波の来襲を予測することができる。おもな地震としては、1906年のバルパライソ地震(M8.2)、1922年のアタカマ地震(M8.5)、1960年のチリ地震(M9.5)などがある。このうち1960年のチリ地震は観測史上最大の地震で、津波が太平洋を越えて日本まで押し寄せ、三陸地方では死者・行方不明139人を出した。チリには津波を伴わない大地震もあり、1939年チリ内陸部のチラン地震(M7.8)では死者3万人、そのほか1970年のペルー沖のアンカシュ地震(M7.9)では氷河雪崩(なだれ)による土石流によって数万人の死者を出している。

[脇田 宏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チリ地震」の意味・わかりやすい解説

チリ地震
チリじしん
Chile earthquake

1960年5月22日午後7時11分,南アメリカのチリで起こった大地震。マグニチュードM)は 9.5で,前震として M7以上の地震が 2回あった。余震域はチリ海岸沿いに幅 200km,長さ 800kmに及んでおり,史上最大級の地震といわれる。チリではこの地震と津波で 5700人の死者を出したが,被害は太平洋全域に波及し,近くの海岸には高さ 10m以上の津波が襲い,ハワイのヒロでも 61人の死者を出した。太平洋を隔てた日本でも,外地の地震としては初めての津波警報が発せられ,約 1日たって三陸沿岸などに高さ約 6mの津波が来襲,死者・行方不明者 142人のほか,家屋の全壊 1500余戸などの被害を出した。この地震によって初めて,地球自由振動が明瞭に観測された。

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