ラショウモンカズラ(読み)らしょうもんかずら

改訂新版 世界大百科事典 「ラショウモンカズラ」の意味・わかりやすい解説

ラショウモンカズラ (羅生門蔓)
Meehania urticifolia Makino

山の林の中に生えるシソ科多年草。茎は四角形で地表をはい,花をつける茎はその節から出て立ち上がり,高さ20~30cm。葉は対生して卵心形,粗い鋸歯があり,下部のものは葉柄があるが,茎の上部につくものは無柄。花は春,茎の先にまばらな花穂を作って開き,一方に片寄って横向きにつく。萼は筒状で先は浅く5裂する。花冠は大きく,紫色で長さ約5cm,筒の部分の半分から先は太くなり,2唇形になった下唇は3裂して開出し,中央裂片は最も大きくさらに2裂し,濃紫色の斑点があり,喉部(のどぶ)に白い毛がある。和名はこの花冠の形を,昔,渡辺綱が京都の羅生門で切り落としたという伝説の鬼女の腕に見立てたところから出たという。花が終わると茎の基部から長いつる状の茎を伸ばし,その節から根を下ろして新しい株を作る。本州,四国,九州朝鮮,中国北部に分布する。花はきれいだが,観賞用としてはほとんど利用されていない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラショウモンカズラ」の意味・わかりやすい解説

ラショウモンカズラ
らしょうもんかずら / 羅生門蔓
[学] Meehania urticifolia (Miq.) Makino

シソ科(APG分類:シソ科)の多年草。花茎は、断面は四角形で、横にはった地下茎から立ち上がり、高さ20~30センチメートル、花期後に、下部から葉をつけた長い走出枝を伸ばす。葉は対生し、卵心形で縁(へり)に粗い鋸歯(きょし)があり、下部のものは長い葉柄があるが、上部のものは葉柄がなく、包葉になる。4~5月、茎上部に一方向に向いてまばらな花序をつくり、紫色花を開く。花冠は長さ4~5センチメートル、下半部は細い筒形となり、上半部は急に広がって先は唇形となる。下唇は3裂して広がり、喉(こう)部に長い毛がある。萼(がく)は筒状で5歯がある。山の林下に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国北部に分布する。名は、花の形を、渡辺綱(わたなべのつな)が京都の羅生門で切った鬼女の腕に見立てたものである。

村田 源 2021年9月17日]


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百科事典マイペディア 「ラショウモンカズラ」の意味・わかりやすい解説

ラショウモンカズラ

シソ科の多年草。本州〜九州,東アジア山地のやや日陰にはえる。茎は地をはい,高さ20〜30cmの花茎を出す。葉は対生し,卵形で長い柄がある。春,上部の葉腋に大型で紫色の唇形(しんけい)花を開く。花冠は長さ4〜5cm,内側には紫色の斑点と長い白毛がある。

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