ラドン(元素)(読み)らどん(英語表記)radon

翻訳|radon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラドン(元素)」の意味・わかりやすい解説

ラドン(元素)
らどん
radon

周期表第18族に属する希ガス元素(貴ガス元素)の一つ。原子番号86、元素記号Rn。すべての同位体が放射性である。19世紀末から20世紀初頭にかけて放射性元素の研究が発展した際、トリウムラジウムアクチニウムのそれぞれの化合物が放射性気体を放出する事実が知られたが、それらが周期表でキセノンの下に位置する希ガス(貴ガス)であることが確認されてラドンの元素名が与えられたのは1923年である。トリウム、ラジウム、アクチニウムの化合物から発する質量数220、222、219の同位体は、それぞれ別にトロン、ラドン、アクチノンともよばれることがある。

 これら3種の同位体は、それぞれウラン・ラジウム系列、トリウム系列アクチニウム系列での崩壊生成核種であり、天然に極微量存在し、これらを含めて多くの半減期の短い放射性同位体が知られている。理論的にはキセノンよりも電子移動を伴う化合物の生成は容易であるが、半減期が短いために、単離された化合物としては包接化合物しか知られていない。

[岩本振武]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android