日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラフィット」の意味・わかりやすい解説
ラフィット
らふぃっと
Jacques Laffitte
(1767―1844)
フランスの銀行家、政治家。南仏バイヨンヌの大工の子に生まれる。パリに出て銀行業で急速に富を積み、1809年フランス銀行理事、1814~1819年にはその総裁を務めた。この間、1816年に下院議員となり、1820年代には自由主義的左派のリーダーとして政府の反動化政策に抵抗した。1830年の七月革命に際しては、共和国の出現を阻止するためオルレアン公ルイ・フィリップによる七月王政の樹立に中心的役割を果たした。1830年11月首相となり、自由主義的改革を推進しようとしたが、財政難の打開、社会的騒乱の収拾などの難問を解決できず、1831年3月に辞任。以後保守派の支配が続くなかで反政府の立場をとり続けた。彼はまたフランスの信用制度の整備にも熱意を示し、1837年「商工業一般金庫」を開設。手形割引のほかに長期の産業信用や発起業務をも営むこの銀行は、第二帝政期に発展をみる新しいタイプの銀行の先駆となった。
[服部春彦]