東南アジアで最も普通にみられる果樹の一つで,マレー半島原産と推定されるが,古くから栽培されてきたためにはっきりしない。高さ10~18mになるムクロジ科の常緑樹で,一般に幹は短く,枝を低く,大きく張る。葉は4~8枚の小葉をもった偶数羽状複葉で互生する。小葉は長さ5~20cmの長楕円形,全縁で革質。花は径約5mmの緑色を帯びた小花で,多数が枝先に生じた円錐花序につく。雌雄異株の傾向が強い。果実は径5~6cmの楕円球形~球形で,1枝に10~20個が房状について垂れ下がる。外果皮は鮮紅色~橙色で,長さ1cmほどのやや湾曲した柔らかい同色の肉刺がクリのいがのように表面をおおう。外果皮はうすく,これをむくと,1個の種子を包む白色半透明,肉質の仮種皮があり,これはブドウのような酸甘味があって美味である。仮種皮と種子は,原始的な品種群では離れが悪いのが欠点である。東南アジアでは市場,露店でよく売られている。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ムクロジ科(APG分類:ムクロジ科)の中高木。マレー諸島原産、英名のランブータンはマレー語に由来し、マレー語名のランブタンは毛がある果物の意味である。葉は互生し、偶数羽状複葉で長さ15~40センチメートル。小葉は革質で全縁、長楕円(ちょうだえん)形または卵形で、長さ7~20センチメートル、毛がなく表面は濃緑色、裏面は淡緑色である。枝端に長さ15~20センチメートルで分枝の多い円錐(えんすい)花序を出す。雌雄異株または異性花同株であるが、雌雄両性花もある。多数の小花をつけ、各花は径約2.5ミリメートル、外花被(がいかひ)は4~6枚で緑黄色を帯び、内花被はない。雄しべは5~8本。雌花には退化した数個の雄しべがある。子房は2~3個に分かれ、各1個の胚珠(はいしゅ)がある。果実は縦径約4.5センチメートル、横径約4センチメートルで、種子が1個ある。果皮は鮮紅色または黄色を帯び、表面に亀甲(きっこう)状の裂紋があり、突起部分は鮮紅色で細長く、約1.5センチメートルの軟刺状である。果肉は半透明で乳白色、多汁で、甘・酸味が適度に調和し、おいしい。果肉部は仮種皮(かしゅひ)に相当し、種子と離れにくい。4~6月、開花し、7月下旬から熟す。
[飯塚宗夫 2020年9月17日]
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