ロシアの小説家。オリョール県の官吏の家の生れ。父の死後,中学を中退し,役人などの職業やキエフ大学聴講生を経て,商会の外交員としてロシア各地を旅行し,当時の作家としては異例なロシアのあらゆる地域や階層についての実際的知識やウクライナ語,ポーランド語を身につけた。1860年代にジャーナリストとして出発するかたわら小説を書きはじめ,中編《じゃこう牛》(1863),《ムツェンスク郡のマクベス夫人》(1865)などを発表した。革命的民主主義者に対する憎悪を露骨に表明した二つの長編《どんづまり》(1864),《いがみ合い》(1871)が反発を買い,一時期保守派に接近したが,70年代以後,宗教的問題に関心を強め,素朴な民衆の生き方に高い道徳性を見いだし,長編《僧院の人々》(1872),《封印された天使》(1873),《魅せられた旅人》(1873),《左利き》(1881),《かもじの美術家》(1883)などの代表的傑作を書いた。これらの作品に見られる僧院,イコン,分離派信徒,名人気質の職人などの興味深い題材,年代記・回想のような自然な構成,〈スカース〉と呼ばれる独特な説話体,古語や民衆の生きた言葉を駆使した絢爛(けんらん)たる文体などは,19世紀ロシア・リアリズム小説の中でひときわ異彩を放つ特徴であり,生前の不遇にもかかわらず,レーミゾフ,ザミャーチン,セラピオン兄弟などの20世紀ロシア作家に深い影響を与えた。
執筆者:長谷見 一雄
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