レス(英語表記)loess

翻訳|loess

精選版 日本国語大辞典 「レス」の意味・読み・例文・類語

レス

〘名〙 (loess) 均質で五〇パーセント以上の微砂と少量の粘土、炭酸石灰などを成分とする黄褐色の土。砂漠から風で運ばれた細塵や氷成堆積物と考えられている。中国北部、中央アジア、ヨーロッパ中北部、北アフリカ、北アメリカ中央部ミシシッピ川流域に広がる。黄土(おうど)

レス

〘名〙 「レスポンス」の略。特にインターネットパソコン通信での返事をいう。

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デジタル大辞泉 「レス」の意味・読み・例文・類語

レス

《語源未詳。レスポンス(response)の略ともいわれるが英語圏などでは通用しない》インターネット上で、メールや掲示板(BBS)の書き込みなどに対する返信や返答のこと。

レス

[接尾]《英語で、形容詞をつくる接尾語-lessから》他の語の下に付いて、…のない、の意を表す。「コードレス」「シュガーレス

レス(loess)

黄土おうど1

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改訂新版 世界大百科事典 「レス」の意味・わかりやすい解説

レス
loess

第四紀の氷期に大陸氷河の周辺地域や砂漠地域から風で運ばれて陸上に厚く堆積した,淡黄色ないし灰黄色を呈する非固結の風成堆積物。黄土(おうど)/(こうど)ともいう。中国の北部・東北部,中央アジア,ヨーロッパ・ロシア南部,中部ヨーロッパ,北アフリカ,北アメリカ中央部,アルゼンチンニュージーランドなどに広く分布し,世界の陸地表面の約10%をおおっている。日本でも福岡県の玄海砂丘や山口県安岡付近にレス状砂からなる古砂丘が存在している。レスという名称の起源は,〈軽くてさらさらしていること〉を意味するドイツ語のLoeseに由来し,最初はライン川流域地方で用いられていたが,1834年にC.ライエルによって英語に導入された。中国のレスは古くから黄土と呼ばれている。ヨーロッパや北アメリカのレスは,かつての大陸氷河周辺地域に分布しており,氷河によって運ばれた岩屑(がんせつ)のうち細粒部分が融氷水によって洗い出されて堆積したものが,冬の乾燥期に河床が干上がり,その上を吹く強い偏西風によって吹きあげられて周辺地域に再堆積したもので,氷成レスと呼ばれる。これに対して中国の黄土は西方のゴビ砂漠地帯が供給源とみなされ,砂漠レスと呼ばれている。

 レスの粒径組成は風で選別されたためよくそろっており,直径0.005~0.1mmの細砂やシルトが大部分を占め,供給源から遠く離れるほど平均粒径が小さくなり,円磨度は増大する。鉱物組成は石英,方解石,長石などの軽鉱物に富み,そのほか雲母,角セン石,輝石,緑レン石などの重鉱物も含まれている。わずかに含まれる粘土鉱物の主体はイライトである。カルシウムやマグネシウムの炭酸塩に富み(CaCO3含量0~33%),希塩酸をかけると二酸化炭素を発生して発泡する。炭酸塩を除いた部分の化学組成は,SiO272~82%,Al2O36~10%,Fe2O31~6%,CaO0.8~1%,Na2O0~1%,K2O1~2%,P2O50.1~0.4%である。

 レスの地層には,いったん溶解した炭酸塩が間隙(かんげき)内に二次的に再沈殿して生じた灰白色の結核が多数並んでいる場合があり,その形が人形に似ているため黄土人形とか黄土小僧などと呼ばれている。レスは,それを構成する鉱物粒子が角ばっているため,微細な間隙に富み(間隙率40~50%),そのため透水性がきわめてよいので停滞水層はほとんど形成されず,したがってレス地帯では井戸水が得にくい。また細粒物質からなり,凝集性が大きいので,レス層は崩壊しにくい。また垂直に発達した亀裂にそって浸食されるので,河岸では垂直に切り立った崖を形成する(黄土峡)。レス中にはカタツムリの化石やダチョウの卵の化石のほかに,マンモスケサイオオツノシカ,長角バイソン,ハイエナ,スイギュウ,ラクダなどの寒冷・乾燥気候を指示する大型哺乳動物化石を産し,これらはレス動物群または黄土動物群と呼ばれている。またレス中には,堆積が中断した間氷期や亜間氷期に生成した土壌が埋没古土壌としてなん枚もはさまれている。例えば,黄土層の模式地である陝西省洛川県黒木溝では,厚さ150mにも達する黄土層中に少なくとも19枚の古土壌が存在する。このような古土壌中の花粉分析の結果はカラマツカバノキなどを含む森林ステップあるいは草本類を主とする乾燥した寒冷ステップの植物群であったことを示している。さらに最近では放射性炭素,古地磁気測定,熱ルミネセンス法などの新しい研究手段によりレスの堆積年代が明らかにされつつある。
古土壌
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百科事典マイペディア 「レス」の意味・わかりやすい解説

レス

黄土(おうど)/(こうど)ともいう。ごく細粒で灰黄色の風成堆積物の総称。華北,北米中央部,ヨーロッパのイギリス海峡から黒海に至る帯状地帯に典型的に分布。第四紀の氷河や砂漠で生じた岩粉が風で飛ばされて周辺に堆積したもの。軽くてさらさらしており,全体として花コウ岩の成分に類似。粒子は破壊された鉱物片で,石英,長石,方解石,雲母などの小片が主で,真の粘度鉱物はほとんど含まない。華北の黄土高原では厚さ100m以上に達し,数十枚の古土壌によって細分される。垂直または水平に走る細い管状の穴や石灰分が奇妙な形に固まった〈黄土小僧〉などを多く含み,水の侵食でできた垂直な崖,その崖の面にできた角の鋭い柱状節理〈黄土柱〉などが特徴的である。黄砂(こうさ)の原因になる。
→関連項目中華人民共和国風成層ベルギー

レス

フランスの聖職者。レともいう。本名J.F.P.ド・ゴンディ。フロンドの乱では反マザラン派の領袖。一時投獄されたが,ルイ14世と和解し,1654年―1662年パリ大司教ののち,サン・ドニ修道院長。その著《回想録》(1717年)は,政治史・文学史上の重要資料。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レス」の意味・わかりやすい解説

レス
Retz, Jean-François-Paul de Gondi, Cardinal de

[生]1613.9.19. マルヌ,モンミライユ
[没]1679.8.24. パリ
フランスの聖職者,文筆家。若くしてパリ補佐司教に任命され,フロンドの乱においては反マザラン派の首謀者となって重要な役割を果した。王権に反抗するためのあらゆる策謀をめぐらし,騒乱終了後 J.マザランに捕えられて (1652) ,バンセンヌ,次いでナントの城に投獄されたが,脱獄して逃亡。その後,種々工作して教皇インノケンチウス 10世より枢機卿に任命され,以後レス枢機卿と称した。また叔父のパリ大司教 J.ゴンディの死 (54) とともに,代理をおいてその職を継いだ。マザランの死後,国王ルイ 14世と和解し,パリ大司教職と交換にサン・ドニ修道院院長など多くの聖職利権を得た。フロンドの乱時代の『回想録』 Mémoires (1717) を残した。

レス

黄土」のページをご覧ください。

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IT用語がわかる辞典 「レス」の解説

レス

《俗語》インターネットの電子掲示板メーリングリストにおいて、ある投稿に対するコメントや返信を書くこと。◇「レスポンス(response)」の略。

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パソコンで困ったときに開く本 「レス」の解説

レス

 返答を意味する「レスポンス」の略です。掲示板に書かれた内容やメールに返答することを「レスを付ける」「レスする」などといいます。メールの「RE:」とは意味が異なります。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「レス」の解説

レス

パソコン通信や電子掲示板などで発言に対して返答を付けることで、リプライとも呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レス」の意味・わかりやすい解説

レス
れす

黄土

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岩石学辞典 「レス」の解説

レス

黄土

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とっさの日本語便利帳 「レス」の解説

レス

レスポンス(返事のこと)

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世界大百科事典(旧版)内のレスの言及

【乾燥地形】より

…ブローアウトは径数百m以下,深さは1m程度の円ないし楕円形のデフレーションによる凹地で,風食凹地または風食窪と呼ばれる。風による堆積地形としては砂原,砂丘レスがある。砂原は風紋以外起伏の見られない砂の平原である。…

【堆積作用】より

…また,跳躍によって移動する粒子が地表面に衝突するとき,表面匍行が少ないと除去量よりも堆積量が増し,付加堆積が進む。こうして砂丘やレスloessが形成される。砂丘では山形地形の風下側斜面において落下堆積となだれを繰り返す侵入堆積によって砂丘は前進する。…

※「レス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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