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ロイヤルゼリー royal jelly; bee milk

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ロイヤルゼリー
royal jelly; bee milk

若い職蜂 (働きばち) の唾液腺が変化した哺育腺から分泌する淡黄色のバター様物質。芳香があり,「ミツバチの乳」または「王乳」といわれる。王台に産卵された雌バチの幼虫は,もっぱらこの王乳で飼育され,女王となる。女王は,職蜂より,体が巨大で,寿命も長く,旺盛な生殖能力をもっていることから,長寿強精の妙薬として賞用されるが,成分や,人間においての有効性は,よくわかっていない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ロイヤルゼリー
ろいやるぜりー
royal jelly

ミツバチの働きバチが女王バチに与える餌(えさ)で、王乳ともいい、ローヤルゼリーともよばれる。ミツバチが植物体などから集めて巣に蓄えた甘味物質が蜂蜜(はちみつ)であり、ミツバチの生産物でエネルギー源となる。この蜂蜜は古くから知られ、食品として利用されてきたが、ロイヤルゼリーの存在は18世紀、その物性は19世紀に記載され、食品として利用されだしてからは40~50年しか経ていない。蜂蜜の原料はレンゲ、アカシア、クローバーなどの花蜜であり、ミツバチがこれを吸い取り、消化液中のインベルターゼなどの作用で花蜜中のショ糖がブドウ糖と果糖に転化される。一方、花から集めた花粉はミツバチのタンパク質およびビタミン、ミネラル源であり、タンパク質はアミノ酸に分解され利用される。働きバチは女王バチの産み付けた卵が孵化(ふか)した幼虫を育てるが、このとき幼虫に与えるのが蜂乳(ほうにゅう)(王乳、働きバチ乳、雄バチ乳の総称)であり、働きバチ(育児バチ)の頭部に発達する下咽頭腺(いんとうせん)および大腮(だいさい)腺から分泌される。これがロイヤルゼリー分泌腺で、幼虫初期の3日間くらいはすべてこのロイヤルゼリーで飼育されるが、その後は女王バチとなる幼虫のみがこのロイヤルゼリーを与えられ、他の大部分の働きバチとなる幼虫は花粉と蜂蜜が混ぜられた餌で育てられる。女王バチも働きバチも幼虫は同じであるが、王台とよばれる部屋でたっぷりロイヤルゼリーのみを与えられて育ったのが女王バチとなり、働きバチの約3倍の大きさ、寿命は約30倍も長く(自然状態で2~3年)、多くの卵を産み続ける。[幸保文治]

成分

蜂蜜とロイヤルゼリーの成分の差は明らかであり、水分は蜂蜜が約20%であるのに対してロイヤルゼリーは約65%と多い。蜂蜜の成分はほとんどが糖であり、ショ糖、ブドウ糖、果糖のほか、マルトースもかなり含まれている。そのほか20種類もの少糖類が存在し、pHは3.4~3.9と低い値(酸性)を示している。ロイヤルゼリーの主成分はタンパク質で、乾量の約50%を占め、牛乳のカゼインに匹敵する。遊離のアミノ酸は量的には少ないが、そのうちプロリンが多く含まれている。また、遊離の脂肪酸が多いのが特徴で、そのなかでも10‐ヒドロキデセン酸はロイヤルゼリー酸ともよばれている。ビタミン類も多量で、ビタミンCを除いては蜂蜜の数十倍も含有する。
 女王バチの分化とロイヤルゼリーの成分との関係については、研究が続けられている。健康食品としての蜂蜜は古くから利用されているが、ロイヤルゼリーはより医療食に近く、衰弱した人に栄養剤として用いられる。最近、ロイヤルゼリー中にもインスリンに非常によく似た物質が発見されており、このものの効果と有効成分については、これからさらに研究が進められるであろう。[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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