岩塊(ロック)をおもな築堤材料としてつくられるダム。貯水の漏水を防ぐために、ダムの内部に遮水壁(コア)をつくる内部遮水壁型(中央遮水壁型、傾斜遮水壁型)と、ダムの上流面を遮水壁で覆って遮水する表面遮水壁型がある。中央遮水壁型ロックフィルダムは堤体の中央部に土質材料による遮水壁(土質遮水壁)をつくり、その外側に砂礫(されき)などでフィルターをつくり、さらにその外側に岩塊を積んでつくるダムである。遮水壁をアスファルトコンクリートでつくるダムもある。傾斜遮水壁型ロックフィルダムは遮水壁を斜めに設置するダムである。表面遮水壁型ロックフィルダムは岩塊を台形に積み、上流面をアスファルトやコンリートで舗装して遮水するダムである。ロックフィルダムはコンクリートダムと比べて築堤材料費が安く経済的で、基礎岩盤がそれほど堅固でないところでも築造でき、高いダムの築造も可能である。2011年版ダム年鑑(日本ダム協会)によると、日本には283(ダム総数の約10%)のロックフィルダムがあり、高さが100メートルを超えるダムが26ある。日本最初のロックフィルダムは1952年に竣工した岐阜県木曽川水系久々利(くくり)川の小渕(こぶち)防災溜池(表面遮水壁型、高さ18.4メートル)である。日本でもっとも高いロックフィルダムは高さ176メートルの高瀬ダム(中央土質遮水壁型、長野県信濃(しなの)川水系高瀬川、1979年竣工)で、高さ186メートルの黒部ダム(富山県黒部川、アーチダム、1963年竣工)に次いで日本で2番目に高い。世界でもっとも高いロックフィルダムは高さ261メートルのメキシコのチコアセンダム(1980年竣工)とインドのテヘリダム(2006年竣工)で、世界で7番目に高い。
[鮏川 登]
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…コロラド川に36年に完成したコンクリート量340万m3のフーバー・ダムは,設計,施工技術の飛躍的な向上をみせ注目を集めていたが,この従来の規模をはるかにこえたダムも,わずか6年後にはワシントン州コロンビア川に完成されたコンクリート量810万m3のグランド・クーリー・ダムなどに追い越された。 一方,1922‐37年に土のパイピング(土中の流水によって内部が洗掘されること)や締固まりに関係する最適含水比など,土に関する基礎的研究が著しく進み,これに施工機械の改良,大型化とがあいまって,このころから土や砂れきやロック(岩塊)を堤体材料とするロックフィルダムが急速に発展した。ヌレーク・ダム(旧ソ連,現タジキスタン)など現在の世界最高クラスのダムはこの形式である。…
※「ロックフィルダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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