ローランド(読み)ろーらんど(英語表記)F. Sherwood Rowland

デジタル大辞泉 「ローランド」の意味・読み・例文・類語

ローランド(Frank Sherwood Rowland)

[1927~2012]米国の化学者。大気化学の権威として活躍。スプレー缶などに使われるフロンオゾン層を破壊することを初めて報告し、フロン使用の規制を訴えた。1995年、ノーベル化学賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローランド」の意味・わかりやすい解説

ローランド(F. Sherwood Rowland)
ろーらんど
F. Sherwood Rowland
(1927―2012)

アメリカの化学者。オハイオ州デラウェアに生まれる。1943年16歳で高校を卒業しオハイオ・ウェスレヤン大学に入学。第二次世界大戦中であったため、14か月間の海軍生活を挟み、1948年に卒業。シカゴ大学に進学し、W・リビー(1960年にノーベル化学賞を受賞)のもとで「サイクロトロンで生成された放射性臭素原子の化学的状態」を研究し、1952年に博士号を取得。同年、プリンストン大学講師に就任。1956年カンザス大学助教授、1964年にカリフォルニア大学アーバイン校教授となる。

 1970年ころから環境問題に興味をもち始め、フロンの大気に対する影響の研究に着手。1973年にレーザー化学が専門のM・モリーナが研究室に参入して共同研究を始め、1974年に冷媒体などとして用いられるフロンガス成層圏オゾン層を破壊している可能性を発表した。この報告を機に、フロンガスの全廃が進んだ。この功績により、モリーナ、P・クルッツェンとともに1995年のノーベル化学賞を受賞した。大気圏におけるメタンガスの濃度上昇が地球温暖化の原因の一つであることも示し、炭水化物やハロゲン化炭素の影響などの研究に取り組んだ。

[馬場錬成 2018年12月13日]

『富永健、巻出義紘、F・S・ローランド著『フロン 地球を蝕む物質』(1990・東京大学出版会)』


ローランド(Henry Augustus Rowland)
ろーらんど
Henry Augustus Rowland
(1848―1901)

アメリカの物理学者ペンシルベニア州生まれ。1870年レンスラー工科大学を卒業。1872年母校の物理学講師となり、1875年新設のジョンズ・ホプキンズ大学教授となった。1878年荷電粒子の運動により磁気的効果が生じることを発見した。1880年代には凹面回折格子を考案し、格子の溝を正確に切る方法を開発して、レンズ凹面鏡などの光学素子を使わずに分光器を組み立てることを可能にし、紫外部分光学に大きく貢献した。

[川合葉子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローランド」の意味・わかりやすい解説

ローランド
Rowland, F. Sherwood

[生]1927.6.28. オハイオ,デラウェア
[没]2012.3.10. カリフォルニア,コロナデルマール
アメリカ合衆国の化学者。フルネーム Frank Sherwood Rowland。1948年オハイオ・ウェズリアン大学を卒業。1952年シカゴ大学で博士号を取得。プリンストン大学,カンザス大学を経て,1964年カリフォルニア大学アーバイン校の教授に就任。1974年,クロロフルオロカーボン CFC(→フロン)がオゾン層で紫外線により塩素原子を放出し,オゾン層を破壊するとの研究報告を,マリオ・ホセ・モリナとともにイギリスの科学誌『ネイチャー』に発表。地球の生物を紫外線から保護しているオゾン層が失われつつあるとする彼らの理論は 1976年アメリカ科学アカデミーによって確認され,アメリカでは 1978年スプレー噴霧剤などに広く使われるフロンガスが規制された。さらに 1980年代に南極上空のオゾンホールが観測されたのをきっかけに,1987年,オゾン層破壊物質の生産量を削減する国際的な協定であるオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書が採択された。ローランドはパウル・クルッツェン,モリナとともに 1995年にノーベル化学賞を受賞した。

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化学辞典 第2版 「ローランド」の解説

ローランド
ローランド
Rowland, F. Sherwood

アメリカの物理化学者.シカゴ大学で学位を取得して,プリンストン大学,カンザス大学を経て,1964年カリフォルニア大学アーバイン校の化学教授となる.原子力委員会の後援などを受けながら,核反応によって生じる原子の化学的挙動に関する研究を進めていたが,1973年にはクロロフルオロカーボン(フロンガス,CFC)に関する研究にも,M. Molina(モリーナ)とともに着手し,その年の末には,CFCからの塩素がオゾン層を破壊するという結論に達し,1974年Nature誌にそれを発表した.これが,その後のCFC規制への出発点となった.1985年南極オゾンホールが確認されると,Molinaらとともにその成因を解明し,CFCの影響を明らかにした.これらオゾン層の生成と分解に関する研究によって,1995年Molina,P. Crutzen(クルッツェン)とともにノーベル化学賞を受賞した.

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改訂新版 世界大百科事典 「ローランド」の意味・わかりやすい解説

ローランド
Lowlands

イギリス,スコットランド中部の低地帯。スコットランド北部のハイランドに対する呼称で,スコットランド低地Scottish Lowlandsともいう。広義にはクライド川河口のダンバートンと北海沿岸のストーンヘブンを結ぶ線より南東側のスコットランド中部・南部全体を指すこともあるが,一般にはダンバー~ガーバン以南の南部高地を省いた地溝帯のみに用いられる。おもにデボン紀砂岩と石炭紀石灰岩から構成され,一部に火山岩や石炭層が露出する。フォース川とクライド川によって潤される平野は酪農が盛んで,また炭田を背景に鉄鋼,造船などの近代工業も立地する。グラスゴー,エジンバラをはじめ都市化が進み,スコットランドの核心地域を形成している。
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百科事典マイペディア 「ローランド」の意味・わかりやすい解説

ローランド

米国の物理学者。1875年ジョンズ・ホプキンズ大学教授。1878年運動する荷電粒子の周囲に磁場を生じることを実証。1883年金属製凹面鏡にきわめて多数の平行線を刻んだ回折格子(凹面格子)を考案,これを用いて太陽スペクトルを詳細に観測(1886年―1895年),天体分光学の発展に寄与した。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「ローランド」の解説

ローランド

正式社名「ローランド株式会社」。英文社名「Roland Corporation」。製造業。昭和47年(1972)設立。本社は浜松市北区細江町。電子楽器メーカー。電子ピアノ・電子ドラム・ギター関連機器などを製造。子会社でコンピューター周辺機器を展開。東京証券取引所第1部上場。証券コード7944。

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