アメリカの物理化学者。コロラドに生まれ、1933年カリフォルニア大学で学位を取得後、同大学で講師、助教授、準教授を務め、1941年から1945年には、コロンビア大学に移り、この間マンハッタン計画に参加した。1954年から5年間、現在のフェルミ原子核研究所の前身であるアメリカ原子力委員会の委員を務め、1959年コロンビア大学教授に就任、翌1960年には14Cによる年代測定法を完成したことでノーベル化学賞を受けた。宇宙線が原子に当たって放射性同位体をつくることの可能性は、1937年グローセAristid von Grosse(1905―1985)によりすでに指摘されていたが、1946年リビーは、宇宙線が大気中の炭素原子と衝突してできる14Cが、5600年の半減期をもつことを利用して、生命体が死後炭素原子の交換を行わないと仮定することにより、考古遺物などの死後の年代を決定する方法を編み出した。この方法は、従来の考古学的知見を一新するような多くの成果を生み出し、14C革命とさえよばれている。1960年代には核シェルターの研究も行っている。
[井山弘幸 2018年12月13日]
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アメリカの化学者.1927~1933年カリフォルニア大学バークレー校で学び,Ph.D.を取得.同年,同校の化学科講師に任じられ,助手,助教授と順調に昇進したが,第二次世界大戦で中断,大戦中はマンハッタン計画(原爆製造)に動員され,コロンビア大学でウラン同位体分離の仕事に従事し,核物理学に興味をもった.1945年シカゴ大学化学科教授となり,同大学の原子核研究所で 14C を用いる年代測定に着手し,多数の試料の測定に利用した.また,1946年宇宙線によりトリチウムが生成することを発見,大気中,天然水中のトリチウム濃度を測定し,ぶどう酒などの試料の年代測定に応用した.1954~1959年原子力委員会委員,1959年カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授,1962年同大学地球物理学・惑星物理学研究所所長に就任した.14C 年代測定の仕事に対して,1960年ノーベル化学賞を受賞した.[別用語参照]放射性炭素による年代測定
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