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ワラビ

栄養・生化学辞典の解説

ワラビ

 [Pteridium aquilinum].真正シダ目コバノイシカグマ科ワラビ属の多年生のシダ植物.春から初夏にかけて地下茎から生じる若い長柄を採取して食用にする.

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百科事典マイペディアの解説

ワラビ

コバノイシカグマ科の夏緑性シダ。ほとんど全世界に分布し,野原など,やや明るい所に多い。径約1cmの地下茎が地中やや深い所を長くのび,まばらに葉が出る。葉は長さ1m内外となり,葉面は五角状卵形で,3回羽状複葉,細い毛があり,胞子嚢は葉縁に沿って列になってつく。
→関連項目シダ(羊歯)植物

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食の医学館の解説

ワラビ

《栄養と働き&調理のポイント》


 山野に自生していますが、出回っているものは栽培種です。野生種を摘むときは、葉が開く前か、開きかけているものを選びます。
○栄養成分としての働き
 含まれる栄養成分には、カロテンやカリウムなどがあります。
 食物繊維も比較的多く、便秘(べんぴ)改善に効果的です。
 ワラビに重曹(じゅうそう)か木炭の炭をかけ、沸騰(ふっとう)した湯をまわしかけます。次に重石をおいて5~6時間おき、空気にさらさないようにします。その後流水にさらします。ワラビ1kgに対して重曹は小さじ1くらいです。アクの抜けたワラビはゆでて、和えものやおひたし、煮もの、汁ものなどに使います。
 ワラビはビタミンB1分解酵素を含み、アクも強いので、念入りにアク抜きするのがコツです。
 生のまま塩漬けにしたり、ゆでて天日干しにすると保存食として利用できます。
 生ワラビを乾燥させた干しワラビは、ビタミンCはなくなってしまいますが、カリウムの含有量が100g中3200mgと格段にふえます。ただ、ワラビはふつう少ししか食べられませんので、カリウムの効果はそう期待できません。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ワラビ
わらび / 蕨
[学]Pteridium aquilinum (L.) Kuhn

イノモトソウ科の夏緑性シダ。暖地では越冬することもある。根茎は分枝して長く地中をはい、まばらに3回羽状分裂の葉を出す。葉は高さ2メートルに達するものもあり、葉身は三角形で薄い革質、表面にややつやがある。裂片は先の丸い長楕円(ちょうだえん)形で、辺縁が内側に巻いて膜質の偽包膜(ぎほうまく)となり、これが縁に沿って一線に並ぶ胞子嚢(ほうしのう)群を覆う。ワラビは各地にもっとも普通にみられ、全世界に広く分布する汎(はん)分布種の一つである。
 シダの若芽を「わらび巻き」というように、日本ではワラビはシダの代名詞とされることもある。外国では、中国語の「蕨」はシダを意味し、逆に英語のfern(シダ)が詩などに用いられるときは、普通、ワラビをさす。ワラビの若芽はゼンマイ同様食用となり、栽培もされるが、近年は東南アジア方面からの輸入品もある。葉に含まれるあくは、はっきりした成分解析はなされていないが、ビタミンB1を破壊するアノイリナーゼなどを含むため、多量に食べると胃壁の出血や貧血症状をおこすといわれる。放牧地では家畜が食べ残すので、しばしば大群落をつくる。[西田治文]

文化史

中尾佐助が提唱した照葉樹林文化の構成要素として、あく抜きの水さらし技術があり、ワラビもその対象植物とされる。ただし、ワラビは樹林下では育たず、照葉樹林を破壊したあとの明るい草原に繁茂する。わらび粉は、中国でも飢饉(ききん)の際の非常食とされた。ワラビの若芽は周・秦(しん)の時代から食用にされ、日本でも利用は古い。『続修東大寺正倉院文集』には、大仏建立のおり、人夫に雑菜としてワラビを5296把(わ)購入した記録がある。6世紀の『斉民要術(せいみんようじゅつ)』には、ワラビの粕(かす)漬けや塩酢(しおす)漬け、ゆでたあとの干しわらびが記述され、平安時代の『延喜式(えんぎしき)』(927)にも、塩漬けわらびが載る。春のわらび摘みは、古くから人々の関心が深く、『源氏物語』に「早蕨(さわらび)の巻」があり、「君にとてあまたの春をつみしかば常を忘れぬ初わらびなり」の歌が詠まれている。ワラビは食用以外に中国では織物に使い、日本でもわらび縄をなった。わらび縄は雨に強く、垣の結束に使った。中国では陶器のひび割れ防止に、ワラビの茎を焼いて灰にし、粘土に混ぜた。著名な景徳鎮の焼物はその方法がとられたと記録されている(『植物名実図考長編』)。
 ワラビの発癌性(はつがんせい)は、1965年イギリスのエバンス博士I. A. Evansによって実証されたが、発癌成分の配糖体プタキロシドptaquilosideはあく抜きで消失する。[湯浅浩史]

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