精選版 日本国語大辞典 「一寸先は闇」の意味・読み・例文・類語 いっすん【一寸】 先(さき)は=闇(やみ)[=闇(やみ)の夜(よ)] 人生はほんの少し先でさえも予測できないことのたとえ。[初出の実例]「一寸先は闇(ヤミ)、命は露の間(ま)、あすをもしらぬうき世なるに」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
ことわざを知る辞典 「一寸先は闇」の解説 一寸先は闇 将来は、ほんの少し先のことでも何が起こるか、まったくわからないことのたとえ。 [使用例] もしかしたら生きているあいだに(俺が死ぬのか軍地が死ぬのか、一寸先は闇だとしても)、俺がこの男を見るのは、これが最後かもしれない[武田泰淳*風媒花|1952] [使用例] 「儂が神戸であたらしい目論見をば試みられるのも、お父はんが達者でいてくれるさかいや。ありがたいなあ」万造がいうと、六兵衛は答える。「人間はのう、一寸先は闇よ。すべては親様のお心任せや。儂も命の続くかぎりはたらくけど、いつまでの寿命かは分らんさけのう。お前も儂に頼ってたらあかんぞ」[津本陽*海商 岩橋万造の生涯|1984] [解説] 「一寸先は闇」という表現は、一見すると空間の描写のようですが、ことばで明示することなく、時間軸の比喩となっていて、未来の深い「闇」が感じられます。一寸は約三センチですが、ことわざは尺貫法の世界で、「一」にも象徴的な意味があるので、ほんのわずかと理解しておくのがよいでしょう。 古くは、「一寸先は闇の夜よ」ともいわれました。戦乱に明け暮れ、明日の生命もどうなるかわからなかった戦国時代、またはその直後の、悲惨な記憶の生々しい時代に生まれた表現です。平和な時代が訪れても、いつまた何が起きるかわからない不安をかかえ、酒食の席では、享楽的に「飲めや歌えや一寸先は闇の夜」と盛んに歌われていたようです。その後、見出しの形で上方いろはかるたに収録されて親しまれ、いまも政治家は「政界の一寸先は闇」とよく口にしています。 〔英語〕Nothing is certain but the unforeseen.(予想外のほかに確かなものはない) 出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報