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一寸法師 いっすんぼうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一寸法師
いっすんぼうし

御伽草子 (おとぎぞうし) 23編の一つ。難波の老夫婦が住吉明から授かった背丈1寸の一寸法師が,お椀の舟,箸の櫂で上京,奉公先の公家の姫とともに鬼ヶ島に行き,打ち出の小槌を奪ってその効力で背丈を伸ばし,金銀を得て帰京,堀川中納言の子孫とわかり中納言に昇進,姫と幸福に暮すという庶民の立身出世の物語。御伽草子の小男の話には,ほかに『小男の草子』などがある。

一寸法師
いっすんぼうし

異常に小さい者 (ちひさこ) が神仙の加護により幸福になるという小人伝説の一つ。上代神話の「小さ子物語」から出たもので,これが多少内容を変化させて全国に広く分布した。一寸法師の名は御伽草子の『一寸法師』による。地方にはさまざまな異称があり,「あくと太郎」 (青森) ,「豆助」 (佐渡) ,「指太郎」 (岐阜) ,「一寸小太郎」 (喜界島) などが同系列の説話に属している。

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百科事典マイペディアの解説

一寸法師【いっすんぼうし】

身長1寸の小男。お椀(わん)の舟に箸(はし)の櫂(かい)をあやつり京に上って公家(くげ)に仕え,鬼を退治して打出の小槌(こづち)を奪い,その効で身長を伸ばし姫君と結婚,立身出世する。
→関連項目小人申し子桃太郎

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

一寸法師 いっすんぼうし

昔話の主人公。
室町時代の「御伽草子(おとぎぞうし)」では,翁(おきな)と(おうな)が住吉明神に願かけしてさずかった身の丈1寸(約3cm)の男子。縫い針を刀として鬼退治をし,鬼ののこした打ち出の小槌(こづち)をふって一人前の身長となり,栄華をえる。同類の「小さ子」誕生物語は昔話としてひろく分布していた。

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朝日日本歴史人物事典の解説

一寸法師

室町時代を背景とする物語の主人公のひとり。子のない夫婦が神仏に祈って豆つぶのような小さい子が生まれる。その子は志が高く京にのぼって貴族の家で働き,その家の娘(姫)について神社に行く途中で鬼に襲われたが,その鬼の口にとびこんで苦しめ,眼から出てくる。鬼が忘れていった打出の小槌をふると背がのびて立派な若者となり娘の夫となる。物語は江戸時代初期に御伽草子として出版され,明治に入ってから小学唱歌「チイサナカラダニオオキナノゾミ」とうたわれてひろく国民に知られた。もとは日本各地にある小さ子物語の一種で,日本よりひろくドイツのおやゆび小僧,イギリスのトムサム,さらには精子にひそむホムンクルスとおなじく,小さい子の願望に根ざす普遍性をそなえている。

(鶴見俊輔)

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世界大百科事典 第2版の解説

いっすんぼうし【一寸法師】

異常に小さな姿でこの世に出現した主人公の活躍を語った昔話群の総称。御伽草子に収められていた物語が〈一寸法師〉と名づけられていたため,この種の昔話を〈一寸法師〉と呼ぶことが広く定着しているが,民間伝承の段階では,主人公を一寸法師と呼ぶほか,豆助,豆一,五分次郎,親指太郎など主として小さいことを示すようなさまざまな名前で呼んでいる。また,民俗学では,神話や伝説,昔話などに登場する,背丈の低い神や人物を〈小さ子〉と総称している。

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大辞林 第三版の解説

いっすんぼうし【一寸法師】

御伽おとぎ草子。一巻。作者未詳。室町後期成立。身の丈一寸の男が思いをかけた主人の姫君を巧みに連れだし、鬼退治の末、奪った打ち出の小槌こづちの力で大きくなり、中納言にまで出世する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一寸法師
いっすんぼうし

昔話。体の小さい子供、すなわち「小さ子」の冒険を主題にする異常誕生譚(たん)の一つ。のちに呪力(じゅりょく)により一人前の大きさになるところに特色がある。一寸法師は、小さい人を意味する中世的な呼称で、ほかに、一寸太郎、五分次郎、豆蔵などの名もある。古くから、『御伽草子(おとぎぞうし)』のなかの『一寸法師』によって知られている。
 難波(なにわ)(大坂)に住む子供のない夫婦が、住吉(すみよし)明神に祈願して男子を授かる。背丈が1寸なので、1寸法師とよぶ。12、13歳のころ、針を刀にし、椀(わん)の舟、箸(はし)の櫂(かい)で川を上り、京に行き、三条の宰相殿に仕える。16歳のとき、13歳の殿の姫を見そめ、一計を案じ、寝ている姫の口に米粒をつけ、米を盗まれたとさわぐ。だまされた宰相殿は、法師に姫を殺せと命じる。姫を連れて難波に下る途中、風に流され、鬼が島に着く。法師は鬼に食われるが、目から出ては飛び回るので、鬼は打出の小槌(こづち)を捨てて逃げる。小槌を打つと、法師は一人前の若者になる。法師はさらに金銀を打ち出して京に上り、姫と結婚して出世する。
 明治以後も、絵本や読み物に書き換えられて普及し、日本の代表的な昔話の一つになっているが、昔話には、それらの書物を通して口承化したと思われる事例も目につく。昔話も、だいたい、この『一寸法師』の物語形式と共通しているが、指や脛(すね)から小さ子が生まれたとか、冒険のとき、魚に飲まれるが、魚が親の手にわたって救われるとか、『一寸法師』にはない特徴のある語り方をする昔話も少なくない。
 「一寸法師」は、ヨーロッパをはじめ、トルコ、インド、ミャンマー(ビルマ)などの南アジアに分布している「親指小僧」の昔話の類話である。一寸法師が魚や鬼に飲み込まれるのは、親指小僧が牛に食われて腹の中に入るのにあたるが、馬を御すなど、むしろ「田螺(たにし)長者」と一致する部分もある。ビルマの「親指小僧」は、「桃太郎」のような冒険をして、日照りを起こす太陽を退治に行くが、これは、一寸法師の鬼征伐が桃太郎の鬼征伐と関係あることを暗示している。日本にも、ヨーロッパの「親指小僧」と細部まで共通している類話もあるが、書物からの影響である可能性が大きい。『一寸法師』はいわば町の文芸で、京や大坂あたりの市民階級の間で知られていた類話を基に、文学にしたものであろう。同時期の物語草子の『小男の草子』は、背丈1尺、幅8寸の小男が、上(じょうろう)を見そめ、結婚して幸福になる物語で、『一寸法師』を現実的な恋愛談らしく、単純化した構想になっている。[小島瓔
『大島建彦校注・訳『日本古典文学全集36 御伽草子』(1974・小学館)』

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世界大百科事典内の一寸法師の言及

【親指トム】より

…ドイツの《グリム童話集》では〈親指小僧Daumesdick〉といい,同じく冒険物語だが,最後には無事親もとにもどる。日本の〈一寸法師〉〈五分次郎〉もこれと同系の話と考えられる。魚や鬼の腹の中に一度のみこまれ,それを脱出してから一人前になるというモティーフは,シャマニズムの成年儀礼における死と再生のなごりと考えられている。…

【桜田文吾】より

…明治・大正期のジャーナリスト。大我,一寸法師と号す。仙台の出身。…

【少彦名命】より

…その体軀短小ながら異常な能力を発揮するという説話的人物としての型は,のちの伝承の世界に多くの類型を生み出していった。スクナビコナは,かぐや姫,一寸法師,瓜子姫,桃太郎等々のはるかな先蹤(せんしよう)である。なおオオナムチ,スクナビコナは医療,禁厭(まじない)の法を定めたとされる(《日本書紀》神代巻)だけに,温泉の開発神とする伝えが各地に多くみられ(伊予国,伊豆国の《風土記》逸文など),延喜典薬式に用いられている薬草石斛(せつこく)はスクナヒコノクスネ(少名彦の薬根)と呼ばれた(《和名抄》《本草和名》)。…

※「一寸法師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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