一枚起請文(読み)イチマイキショウモン

デジタル大辞泉 「一枚起請文」の意味・読み・例文・類語

いちまい‐きしょうもん〔‐キシヤウモン〕【一枚起請文】

紙1枚に書いた起請文。
法然が建暦2年(1212)臨終の際、門弟源智の求めに応じて浄土往生要義和文で1枚の紙に書き、遺戒としたもの。浄土宗で朝夕読誦どくじゅする。一枚起請一枚消息。御誓言。

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精選版 日本国語大辞典 「一枚起請文」の意味・読み・例文・類語

いちまいきしょうもん‥キシャウモン【一枚起請文】

  1. 法然(源空)作。建暦二年(一二一二正月(同元年一二月の説もある)臨終の病床にあって、弟子の勢観の要請に応じたものとされる。没後に弟子たちの間で異議が生ずることを防ぐために、自己信仰神髄を示したもので、一枚の紙に書かれたところからいう。一枚起請。一枚御消息。一枚御誓文。

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改訂新版 世界大百科事典 「一枚起請文」の意味・わかりやすい解説

一枚起請文 (いちまいきしょうもん)

法然の作。念仏の要義を1枚の紙に平易な文章で書き,釈迦・弥陀に偽りのないことを誓った文。〈一枚消息〉ともいう。1212年(建暦2)1月23日,つねに法然のもとで仕えてきた源智が,師の命終が近いことを知り,没後に門人たちの間で異義の生じることを恐れ,浄土宗の安心起行(あんじんきぎよう)の肝要を懇望したので,法然がこれに応じてみずからしたため源智に授与した。浄土宗では法然の遺訓として最も尊重する。京都の金戒光明寺に真筆と伝えるものを襲蔵する。なお,念仏の極意をわずかな言辞にまとめた名文として一休ら他宗派の僧も称賛し,巷間ではこの文体をまねた茶道,飲酒,商売,俳諧の〈一枚起請文〉が作られている。
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百科事典マイペディア 「一枚起請文」の意味・わかりやすい解説

一枚起請文【いちまいきしょうもん】

1212年法然が臨終に弟子源智の請いによって授けたものとされる。わずか1枚の紙に書かれた200字余りの短いもので,この称がある。往生極楽には南無阿弥陀仏と唱えるほかにない,一切はその中におさまる,と説く。

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旺文社日本史事典 三訂版 「一枚起請文」の解説

一枚起請文
いちまいきしょうもん

鎌倉前期,死期の迫った法然が弟子に残した教義の教え
建暦年間(1211〜13)の成立。念仏の意義を説き,滅後の邪義を防ぐために記したといわれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一枚起請文」の意味・わかりやすい解説

一枚起請文
いちまいきしょうもん

源空 (法然) が源智の願いによって,浄土往生の要点を1枚の紙にしたためたもの (1212) 。浄土宗において重要視される。

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