改訂新版 世界大百科事典 「丁村遺跡」の意味・わかりやすい解説
丁村遺跡 (ていそんいせき)
Dīng cūn yí zhǐ
中国,山西省襄汾県丁村一帯の大規模な中期旧石器時代の遺跡群。1953年に発見され,54年に中国科学院古脊椎動物与古人類研究所が発掘調査した。その結果,汾河に沿った14ヵ所の地点と付近一帯から,多くの石器,哺乳動物化石,人類の歯の化石が発見された。発見された石器・石片類は2005個で,その94.7%はホルンフェルス製である。石器の大部分は剝片石器で,チョッピングトゥール,手斧,球状器を含む石核石器はきわめて少量である。剝片石器には三稜大尖頭器(丁村式尖頭器),スクレーパー,単辺形器,多辺形器などがあげられる。これらの石器群は丁村石器文化と称され,前期旧石器時代に属する山西省芮城県河(あんが)遺跡の石器群ときわめて類似している。最近の賈蘭坡らの研究によると,中国華北の旧石器文化の発展には2系統あり,その一つの系統が,大型剝片製チョッピングトゥール,三稜大尖頭器に代表される河-丁村系という石器伝統である。
執筆者:加藤 晋平
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