日本大百科全書(ニッポニカ) 「三善晃」の意味・わかりやすい解説
三善晃
みよしあきら
(1933― )
作曲家。東京生まれ。東京大学文学部仏文科に在学中の1953年(昭和28)に『クラリネット、ファゴット、ピアノのためのソナタ』が日本音楽コンクール作曲部門第1位となる。55年から57年にかけてパリ国立音楽院に留学、アンリ・シャランHenri Challan(1910―77)のクラスに学ぶ一方で、レイモン・ガロワ・モンブランRaymond Gallois-Montbrun(1918―94)に個人的に学ぶ。放送詩劇『オンディーヌ』(1959)で芸術祭賞とイタリア賞を受賞。60年(昭和35)東大卒業。『ピアノと管弦楽のための協奏的交響曲』(1954)、『ピアノ協奏曲』(1962)、『管弦楽のための協奏曲』(1964)で、第3回・第11回・第13回尾高賞受賞。ソナタ、協奏曲といったヨーロッパの伝統的な曲種を題名にもちながら、モチーフ(主題)の変奏や繊細な音色の生み出し方などに独特の方法がみられる。『高原断章』(1955)、『白く』(1962)、『決闘』(1962)などの歌曲では、無調的で表出的な語法による彼独自の方法でテキストが解釈されている。合唱とオーケストラのための三部作『レクイエム』(1972)、『詩編』(1979)、『響紋(きょうもん)』(1984)は、初期から書かれてきたオーケストラ作品と声楽作品の統合的な成果となっている。初のオペラ作品に『遠い帆』(1998)がある。桐朋(とうほう)学園大学学長、日本現代音楽協会委員長、日本音楽コンクール委員長、東京文化会館館長等を歴任。99年(平成11)芸術院会員、2001年文化功労者となる。『遠方より無へ』(1979)など著述も多数ある。
[楢崎洋子]
『『遠方より無へ』(1979・白水社)』▽『『対話十二章 現代の芸術視座を求めて――三善晃対談集』(1989・音楽之友社)』▽『『ヤマガラ日記』(1992・河合楽器製作所出版事業部)』▽『『ぴあのふぉるて』(1993・毎日新聞社)』▽『桐朋教育研究所編『生江義男対談集――創造する力』(1988・二期出版)』▽『安永徹・三善晃他著『音楽って何だろう――安永徹対談集』(1990・新潮社)』▽『楢崎洋子著『武満徹と三善晃の作曲様式――無調性と音群作法をめぐって』(1994・音楽之友社)』▽『武満徹著『武満徹対談集――創造の周辺』(1997・芸術現代社)』▽『天野郁夫編『大学を語る――22人の学長』(1997・玉川大学出版部)』