デュティユー(読み)でゅてぃゆー(英語表記)Henri Dutilleux

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュティユー」の意味・わかりやすい解説

デュティユー
Dutilleux, Henri

[生]1916.1.22. アンジェ
[没]2013.5.22. パリ
フランスの作曲家。画家や音楽家の多い家系に生まれ,1933年パリ音楽院に入学,1938年ローマ大賞受賞した。1942年パリのオペラ座に職を得たが,第2次世界戦後は 1963年までフランス国立放送に勤務した。1961~70年パリ・エコール・ノルマル音楽院で,1970~71年パリ音楽院で作曲を教えた。特定の演奏者のための作品や委嘱作品を多く手がけており,代表曲に,オーケストラと室内楽の二重編成が特徴的な交響曲第2番『ル・ドゥーブル』(1959),『五つの変遷』(1965初演),チェロ協奏曲『遙かなる遠い国へ』(1970),弦楽四重奏曲『夜はかくの如く』(1977),管弦楽曲『響き,間隙,動き』(1978),バイオリン協奏曲『夢の樹』(1985),ソプラノとオーケストラのための『往復書簡』(2003初演),『時間,大時計』(2007初演)などがある。クロード・ドビュッシーやアルベール・ルーセルモーリスラベル,さらにはジャズの影響を受けながらも,神秘的な感覚に満ちた,独自の現代的スタイルを特徴とする。1967年国民音楽大賞,2005年エルンスト・フォン・ジーメンス音楽賞を受賞。レジオン・ドヌール勲章を授与され,1981年アメリカ芸術科学アカデミーの名誉会員となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュティユー」の意味・わかりやすい解説

デュティユー
でゅてぃゆー
Henri Dutilleux
(1916―2013)

フランスの作曲家。アンジェ生まれ。パリ音楽院でガロン兄弟、ビュッセルHenri Büsser(1872―1973)らに師事。1938年ローマ大賞受賞。1961年高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)作曲科教授、1969~1974年同学長を務めた。1970年パリ音楽院作曲科教授に就任。ドビュッシー、ラベル、ルーセルなどの影響を受けるが、伝統や流派にとらわれずに独自の音楽語法を確立した。代表作には『ピアノ・ソナタ』(1947)、二つの交響曲(1950/1959)、バレエ音楽『狼(おおかみ)』(1953)、オーケストラのための『メタボール』(1964)、チェロ協奏曲『遠き世界へ』(1970)、弦楽四重奏曲『夜はかくのごとく』(1977)、管弦楽曲『音色・空間・運動』(1978)、バイオリン協奏曲『夢の樹(き)』(1985)などがある。1997年(平成9)武満徹(たけみつとおる)作曲賞(この年はネクスト・ミレニアム作曲賞の名称で実施)の審査員を務めた。二度来日している。

[寺田兼文]

『Caroline Potter:Henri Dutilleux;His Life and Works(1997, Ashgate Publishing Company)』

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