三瀬峠(読み)みつせとうげ

日本歴史地名大系 「三瀬峠」の解説

三瀬峠
みつせとうげ

三瀬峠を越す飯場いいば越道は古くから肥前筑前両国を結ぶ幹線道路であった。鎌倉時代に野田周防守(のちの三瀬氏)が三瀬山に来住したといわれるが、それ以来神代くましろ氏領となってからもこの道路は重視された。道筋宿しゆくには番所が置かれ、国境を越えて出入りする者を監視した。

江戸時代、佐賀藩領となってからも、ここに番所が置かれ、番所役人を配して旅行者を厳しく取り締まった。さらに、番所では国境を越えて搬出入する諸貨物を検査し、規定の俵銭(輸出入税)を徴収して藩の小物成所へ納めることも重要な任務であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三瀬峠」の意味・わかりやすい解説

三瀬峠
みつせとうげ

九州北部、福岡・佐賀県境にある、脊振山地(せふりさんち)越えの代表的な峠。「みつぜとうげ」ともいう。玄界灘(げんかいなだ)側の室見川(むろみがわ)水系有明(ありあけ)海側の嘉瀬川(かせがわ)水系の分水界に位置する。標高約583メートル。北は福岡市早良区(さわらく)、南は佐賀市三瀬村地区で、福岡・佐賀両市を結ぶ国道263号が通ずる。古来、筑前(ちくぜん)・肥前(ひぜん)国境の交通要衝の地で、佐賀藩も番所を設けた。佐賀県側は高原状であるが、福岡県側は急傾斜で曲渕(まがりぶち)ダム付近までは道路の屈曲が多い。冬季は積雪や道路の凍結などがみられ、三瀬トンネルが設けられた。佐賀県の脊振北山(ほくざん)県立自然公園北山ダムなどに近く、三瀬トンネルに脊振山地開発への期待がかかっている。

[川崎 茂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三瀬峠」の意味・わかりやすい解説

三瀬峠
みつせとうげ

福岡市西部の早良区佐賀市の境にある峠。標高 583m。脊振山地中部にあり,国道 263号線が越え,その東側を有料道路の三瀬トンネルが通じる。北の福岡市側は急傾斜の断層崖をなし道路は曲折してふもとに曲渕ダムがある。南の佐賀市側は起伏のゆるやかな高原で,北山ダムなどがある。峠一帯は福岡県,佐賀県両県の県立自然公園となっている (→脊振雷山県立自然公園 , 脊振北山県立自然公園 ) 。

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世界大百科事典(旧版)内の三瀬峠の言及

【三瀬[村]】より

…戦国期,肥前北部の山地一帯に勢力を扶植し,竜造寺氏と覇を競った神代(くましろ)氏の居城が宿(しゆく)にあり,城跡には神代勝利をまつった石祠がある。村域北端の三瀬峠(583m)を越える道は肥前と筑後を結ぶ重要なルートで,江戸時代には番所が置かれた。現在は国道263号線が通り,佐賀・福岡両市を結ぶ。…

※「三瀬峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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