脊振山地(読み)せふりさんち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「脊振山地」の意味・わかりやすい解説

脊振山地
せふりさんち

九州北部の筑紫山地(つくしさんち)に属し、福岡佐賀両県にまたがる花崗(かこう)岩山地東西約50キロメートル、南北約24キロメートル。脊振山(1055メートル)を主峰とする分水界は、北に偏り、ほぼ県境を東西に走る。福岡県側は急傾斜で室見(むろみ)川などの河谷に臨むが、佐賀県側には標高400~600メートルの隆起準平原状の高原が幅広く分布。南西部には、蛇紋岩や三郡(さんぐん)変成岩類の天山(てんざん)(1046メートル)の山系が直接佐賀平野に臨む。城原(じょうばる)、嘉瀬(かせ)(川上)、厳木(きゅうらぎ)、玉島(たましま)、室見、那珂(なか)川など諸水系が樹枝状に発達し、水田の開ける小盆地や、峡谷各所に分布。降水量が多く、北山(ほくざん)ダムなどのダム開発や水力発電所も点在し、各所にダム建設問題がある。スギヒノキや、ミカンカキなど産する。三瀬(みつせ)峠コース(トンネル)の国道263号を中心に交通体系も整備され、福岡・佐賀両市などとの結合も強まる。脊振雷山(らいざん)(福岡)、脊振北山(佐賀)などの県立自然公園も分布し、観光開発が進む。

[川崎 茂]

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改訂新版 世界大百科事典 「脊振山地」の意味・わかりやすい解説

脊振山地 (せふりさんち)

福岡県西部から佐賀県中央部にかけて位置する山地。〈せぶりさんち〉とも読む。筑紫(つくし)山地西部を占め,北は福岡平野,南は佐賀平野(筑紫平野西部),西は唐津市と多久市を結ぶ谷を隔てて松浦杵島(きしま)丘陵に接している。大部分が花コウ岩からなる断層山地で,全体としてひし形に近く,西北西~東南東方向とこれに直角な方向の多数の断層に沿って谷が発達し,いくつかの地塊に分けられる。北寄りの雷山(らいざん)山地(狭義の脊振山地)は福岡・佐賀両県の県境となり,脊振山地の最高峰の脊振山(1055m),雷山(955m)がある。南西部には天(てん)山(1046m)を最高峰とする天山山地が位置している。雷山・天山両山地の間は標高500m前後の高原状の地形である。脊振山地は急傾斜の斜面に囲まれており,佐賀平野に面する山麓には3段の段丘が発達している。標高500mの高原部は冷涼気候を利用してセロリ,レタスなどの野菜の栽培が盛んである。福岡県側,佐賀県側とも県立公園に指定され,城原(じようばる)川の渓谷,北山(ほくざん)貯水池,古湯(ふるゆ)温泉などには行楽客が多い。
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百科事典マイペディア 「脊振山地」の意味・わかりやすい解説

脊振山地【せふりさんち】

福岡・佐賀県境をほぼ東西に走る山地。筑紫(つくし)山地の一部で,東西約50km,南北約25km,大部分は花コウ岩からなり,地塁状の隆起準平原を呈する。断層崖も発達。最高峰は脊振山(1055m)。植林が進み,山地酪農,茶,ミカンの栽培も行われる。
→関連項目小城[町]上峰[町]佐賀[県]佐賀[市]那珂川[町]中原[町]大和[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脊振山地」の意味・わかりやすい解説

脊振山地
せふりさんち

佐賀,福岡両県の県境にある山地。筑紫山地の北部に位置し,筑紫平野の北西側にあり,花崗岩を主体とする断層山地。おもな河川や道路は断層線に沿う。脊振山 (1055m) が最高峰で,西へ金山 (967m) ,雷山 (955m) と連なる。おもな峠は椎原峠 (757m) と三瀬峠 (583m) 。南斜面にある山間盆地は早くから開発され,茶,ミカンの栽培と酪農が行われてきたが,1960年頃から高冷地農業にも力を注いでいる。スギの植林地も多い。縄文時代の遺跡が多くみられる。山間の清流と峡谷美に富み,ダム,温泉,ハイキングやキャンプの好適地などがある。国道 263号線が佐賀市と福岡市を結んで山地を南北に縦断する。

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世界大百科事典(旧版)内の脊振山地の言及

【筑紫山地】より

…中国山地が連続した山地であるのに対し,この山地は筑豊盆地,福岡平野,筑紫平野などにより地塊に分断されている。北東から本州と対峙する企救(きく)山地,紫川の東側に位置する貫(ぬき)山地と西側に位置する福智山地,筑豊盆地と福岡平野の間の三郡山地,筑後川の南の耳納(水縄)(みのう)山地,福岡・熊本両県にまたがる筑肥山地,福岡・佐賀両県境の脊振山地,佐賀県から長崎県にかけての肥前山地の総称である。これらの山地の多くは断層山地と考えられているが,まだ確認はされていない。…

※「脊振山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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