三番目物(読み)サンバンメモノ

デジタル大辞泉 「三番目物」の意味・読み・例文・類語

さんばんめ‐もの【三番目物】

能の分類の一。正式な五番立て演能の際に、三番目に上演される曲。女性シテとし、優美な舞を見せるもので、鬘物かずらものともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「三番目物」の意味・読み・例文・類語

さんばんめ‐もの【三番目物】

  1. 〘 名詞 〙 能楽で上演番組が五番立ての場合に第三番目に上演される曲の総称。女性を主人公(シテ)とする鬘物がほとんどで、「井筒」「松風」「羽衣」などがこれにあたる。

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改訂新版 世界大百科事典 「三番目物」の意味・わかりやすい解説

三番目物 (さんばんめもの)

能の種別の名。五番立分類(江戸時代の1日の番組編成基準に基づく分類法)で第3番目に置かれる能。1日の演能の中心をなす幽玄味の濃い曲で,舞歌の要素を主体とする。現行曲中約40曲ある。主人公は著名な美女の霊(《井筒》《野宮》《夕顔》《東北》《楊貴妃》),美女姿の植物の精(《杜若(かきつばた)》《芭蕉》),天人(《羽衣》《吉野天人》),老女の霊(《檜垣(ひがき)》《姨捨(おばすて)》)などの霊的存在で,夢幻能の形式をとることが多いが,現実の女性が登場する現在能の《熊野(ゆや)》《千手》《草子洗》《関寺小町》等もある。《源氏供養》《大原御幸(おはらごこう)》以外はすべて主人公が舞を舞い,舞事の中でも最も優美で典雅な〈序ノ舞〉を持つ曲の多くが三番目物に含まれる。女性を主人公とする曲が多いため,三番目物を〈鬘物(かつらもの)〉と呼ぶこともあるが,貴人の男性(《小塩》《雲林院》)や老人姿をとる樹木の精(《西行桜》《遊行柳(ゆぎようやなぎ)》)が登場する曲も三番目物に含まれるから,あまり適当な名称ではない。
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百科事典マイペディア 「三番目物」の意味・わかりやすい解説

三番目物【さんばんめもの】

鬘物(かつらもの)

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世界大百科事典(旧版)内の三番目物の言及

【定家】より

…能の曲名。三番目物金春(こんぱる)禅竹作か。…

【能】より

…曲籍は,番組編成の指針であると同時に,演目の分類ともなっているし,また演出の大まかなめどともなる。すなわち,脇能物はよどみなくさわやかに,二番目物はきびきびと勇壮に,三番目物は優美にしっとりと,四番目物は変化を尽くして面白く,五番目物は手強く足取り速くというのがおよその演じかたである。むろん個々の演目で違いの幅は大きいが,一応の基準にはなるのである。…

※「三番目物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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