〈さんぞうほっし〉ともよむ。仏教の聖典の経蔵・律蔵・論蔵のそれぞれに精通した人を,経師・律師・論師といい,三蔵のすべてに通暁した人を三蔵比丘・三蔵聖師といったが,とくに有名なのが三蔵法師の呼称であり,ときには略して単に三蔵と呼ぶこともある。一蔵に精通することでさえ難事であるだけに,三蔵に通暁する法師というのは,きわめて尊敬をこめた意味であった。とくに中国では,インド,西域から仏典をもたらし,漢訳に従事した人々を尊称して訳経三蔵あるいは三蔵法師と呼ぶことが多い。クマーラジーバ(鳩摩羅什)や真諦などもそう呼ばれたが,最も有名なのは玄奘(げんじよう)である。とくに《大唐三蔵取経詩話》をはじめ明代の長編白話小説である呉承恩の《西遊記》が世に出てからは,三蔵法師といえば,弟子の孫悟空・猪八戒・沙悟浄をひきつれて天竺への苦難の旅をつづけた求法僧,玄奘を指すことが多い。
執筆者:礪波 護
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
三蔵(経(きょう)蔵、律(りつ)蔵、論(ろん)蔵)を伝訳した僧。インド、西域(せいいき)の仏典を将来し、これを翻訳した人を訳経三蔵というが、これも三蔵法師の別称とみてよい。古来、三蔵法師といえば玄奘(げんじょう)三蔵の代名詞のごとく使われるのは、玄奘こそ中国最大の翻訳僧であるからにほかならない。
[岡部和雄]
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…中国,唐代初期の僧。西域,インドへの求法僧で,一般には三蔵法師として知られる。俗姓は陳氏。…
※「三蔵法師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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