中国、隋(ずい)代の仏書。1巻。三論の教学を大成した嘉祥大師(かじょうだいし)吉蔵(きちぞう)の著作で、揚州(江蘇(こうそ)省)慧日(えにち)道場に滞在中(597~599ころ)の作。三論とはインドの龍樹(りゅうじゅ)の『中論』『十二門論』と弟子提婆(だいば)の『百論』をいい、龍樹の『大智度(だいちど)論』を加えて四論という。これらはいずれも『般若経(はんにゃきょう)』の空(くう)を論じたもので、401年に長安にきた鳩摩羅什(くまらじゅう)によって漢訳された。三論に基づく学派を三論宗という。『三論玄義』は、吉蔵が三論の奥深い教義とその大綱を簡明に説いたもので、総じて破邪(はじゃ)・顕正(けんしょう)、無得(むとく)の正観(しょうかん)、諸法の実相、中道(ちゅうどう)を宗(むね)とする、と説く。空観(くうがん)哲学の入門書として名高い。
[丸山孝雄]
『金倉圓照訳註『三論玄義』(岩波文庫)』▽『三枝充悳著『三論玄義』(『仏典講座27』所収・1971・大蔵出版)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
会社員に扶養されるパートら短時間労働者は年収106万円以上になると厚生年金保険料などの負担が生じて手取りが減る。将来の年金額は手厚くなるが、働き控えを招く「壁」とされ、企業の人手不足の要因となる。厚...