中国、隋(ずい)代の仏書。1巻。三論の教学を大成した嘉祥大師(かじょうだいし)吉蔵(きちぞう)の著作で、揚州(江蘇(こうそ)省)慧日(えにち)道場に滞在中(597~599ころ)の作。三論とはインドの龍樹(りゅうじゅ)の『中論』『十二門論』と弟子提婆(だいば)の『百論』をいい、龍樹の『大智度(だいちど)論』を加えて四論という。これらはいずれも『般若経(はんにゃきょう)』の空(くう)を論じたもので、401年に長安にきた鳩摩羅什(くまらじゅう)によって漢訳された。三論に基づく学派を三論宗という。『三論玄義』は、吉蔵が三論の奥深い教義とその大綱を簡明に説いたもので、総じて破邪(はじゃ)・顕正(けんしょう)、無得(むとく)の正観(しょうかん)、諸法の実相、中道(ちゅうどう)を宗(むね)とする、と説く。空観(くうがん)哲学の入門書として名高い。
[丸山孝雄]
『金倉圓照訳註『三論玄義』(岩波文庫)』▽『三枝充悳著『三論玄義』(『仏典講座27』所収・1971・大蔵出版)』
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