三部経(読み)サンブキョウ

デジタル大辞泉 「三部経」の意味・読み・例文・類語

さんぶ‐きょう〔‐キヤウ〕【三部経】

それぞれの立場で最も尊重する経典三部を選んだもの。浄土三部経は、無量寿経観無量寿経阿弥陀経法華三部経は、無量義経法華経観普賢経大日三部経は、大日経金剛頂経蘇悉地そしつじ経。弥勒みろく三部経は、上生経・下生経・成仏経。鎮護国家の三部経は、法華経・仁王般若経金光明最勝王経

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精選版 日本国語大辞典 「三部経」の意味・読み・例文・類語

さんぶ‐きょう‥キャウ【三部経】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。それぞれの立場で、最も尊重する経典三部を選んだもの。浄土の三部(無量寿経・観無量寿経・阿彌陀経(あみだきょう))、大日の三部(大日経・金剛頂経・蘇悉地経(そしつじきょう))、法華(ほっけ)の三部(法華経・無量義経・観普賢経(かんふげんきょう))、鎮護国家の三部(法華経・仁王般若経(にんのうはんにゃきょう)・金光明最勝王経)など。三部。
    1. [初出の実例]「この三部経(サムブキャウ)釈迦如来自説にてましますとしるべしとなり」(出典末燈鈔(1333)八)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三部経」の意味・わかりやすい解説

三部経
さんぶきょう

仏教において同じ教えを説く三部の経典。中国以降の仏教では、多数の経典のなかから同じ教えを説く三部の経典をとくに選定し重視した。たとえば、浄土三部経、あるいは弥陀(みだ)の三部(『無量寿経(むりょうじゅきょう)』『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』『阿弥陀経(あみだきょう)』)、法華(ほっけ)の三部(『無量義経(むりょうぎきょう)』『法華経(ほけきょう)』『普賢観経(ふげんかんぎょう)』)、大日(だいにち)の三部、あるいは真言(しんごん)の三部、秘密の三部(『大日経』『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』『蘇悉地(そしつじ)経』)、鎮護国家の三部(『法華経』『仁王経(にんのうきょう)』『金光明経(こんこうみょうきょう)』)、弥勒(みろく)の三部(『上生(じょうしょう)経』『下生(げしょう)経』『成仏(じょうぶつ)経』)などである。古くは『隋天台智者(ずいてんだいちしゃ)大師別伝』に法華の三部が記されているが、法然著『選択本願(せんちゃくほんがん)念仏集』に浄土三部経がまとめて出されている。

[柴田 泰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三部経」の意味・わかりやすい解説

三部経
さんぶきょう

仏教の各分野における重要な経典3種を一括して呼ぶ名称。 (1) 浄土三部経 (『無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』) 。 (2) 大日三部経 (『三部秘経』ともいう。『大日経』『金剛頂経』『蘇悉地経』) 。 (3) 法華三部経 (『無量義経』『法華経』『観普賢菩薩行法経』) 。 (4) 弥勒三部経 (『観弥勒菩薩上生兜率天経』『弥勒下生経』『弥勒大成仏経』) 。 (5) 鎮護国家三部経 (『法華経』『仁王般若経』『金光明経』) など。

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