仏教において同じ教えを説く三部の経典。中国以降の仏教では、多数の経典のなかから同じ教えを説く三部の経典をとくに選定し重視した。たとえば、浄土三部経、あるいは弥陀(みだ)の三部(『無量寿経(むりょうじゅきょう)』『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』『阿弥陀経(あみだきょう)』)、法華(ほっけ)の三部(『無量義経(むりょうぎきょう)』『法華経(ほけきょう)』『普賢観経(ふげんかんぎょう)』)、大日(だいにち)の三部、あるいは真言(しんごん)の三部、秘密の三部(『大日経』『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』『蘇悉地(そしつじ)経』)、鎮護国家の三部(『法華経』『仁王経(にんのうきょう)』『金光明経(こんこうみょうきょう)』)、弥勒(みろく)の三部(『上生(じょうしょう)経』『下生(げしょう)経』『成仏(じょうぶつ)経』)などである。古くは『隋天台智者(ずいてんだいちしゃ)大師別伝』に法華の三部が記されているが、法然著『選択本願(せんちゃくほんがん)念仏集』に浄土三部経がまとめて出されている。
[柴田 泰]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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