上郡(読み)じょうぐん

精選版 日本国語大辞典 「上郡」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ぐんジャウ‥【上郡】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 令制で、五等級の郡のうち、第二位にあたるもの。五〇戸をもって一里として、その里数が、一二以上一五以下であるもの。〔令義解(718)〕
  2. [ 2 ] 中国の秦代に陝西省西北部から内モンゴル自治区オルドスにかけての地方に置かれた郡。〔史記‐秦本紀〕

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日本歴史地名大系 「上郡」の解説

上郡
かみごおり

北方きたがた地方のうち、吉野川中・上流域の美馬みま三好みよし両郡をさす慣用的な地域区分名称で、阿波・麻植おえ両郡より下流域をさす下郡しもごおりに対する汎称。吉野川本流およびその支流である祖谷いや川・銅山どうざん(伊予川)加茂谷かもだに川・貞光さだみつ川・穴吹あなぶき川などの各流域、および吉野川北岸の讃岐山脈(阿讃山脈)からなる。条里地割が確認できる三加茂みかも平野や吉野川の中洲である美馬郡穴吹町舞中まいなか島、吉野川北岸の段丘化した複合扇状地群、吉野川と各支流との合流点付近に発達した小谷底平野を除いて平地に乏しく、山地部が大半を占める。山地部には地滑り地が広く分布するが、緩斜面をなすため古来より生活・生産の場として利用されてきた。

吉野川北岸の阿讃あさん山脈南麓には西日本の地質構造を二分する中央構造線に沿って段丘化した扇状地が連なり、弥生時代前期―中期にかけての水田遺構が確認される大規模な複合遺跡である三好郡三好町大柿おおがき遺跡や、県の史跡に指定されている同町足代東原あしろひがしはら遺跡をはじめとする遺跡が多数分布する。また美馬郡美馬町郡里こおざと東側の開析扇状地の末端には、国指定史跡の横穴式石室をもつ円墳の段の塚穴だんのつかあながある。


上郡
かずらきのかみぐん

御所ごせ市の大部分を占めた郡。古くは葛下郡とともに葛城かつらぎ国・葛城県の地域で、「日本書紀」神武天皇即位前紀戊午年九月五日条に「高尾張邑或本に云はく、葛城邑といふ」、己未年二月二〇日条に「高尾張邑に、土蜘蛛有り。其の為人、身短くして手足長し。侏儒と相類たり。皇軍、葛の網を結きて、掩襲ひ殺しつ。因りて改めて其の邑を号けて葛城と曰ふ」の地名説話がみられるほか、同二年二月二日条に「剣根といふ者を以て、葛城国造とす」、推古天皇三二年一〇月一日条の蘇我馬子の奏上に「葛城県は、元臣が本居なり。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上郡」の意味・わかりやすい解説

上郡(町)
かみごおり

兵庫県南西部、赤穂(あこう)郡にある町。1913年(大正2)町制施行。1955年(昭和30)高田、鞍居(くらい)、船坂の3村および赤松村の一部と合併。JR山陽本線と国道2号が東西に走り、国道373号が分岐する。1994年(平成6)に智頭急行(ちずきゅうこう)智頭線が開通した。アユで知られた千種川(ちくさがわ)が貫流して南に開け、平坦(へいたん)地が広がる。農業は従来の水稲中心から野菜、花卉(かき)、ブドウなど近郊的農業に移行しつつある。播磨(はりま)工業地域の後背地として中小企業が進出し、1992年には山野里工業団地が完成、住宅団地も開発されている。また、播磨科学公園都市の建設が進められ、町北部の佐用(さよう)町との境界に大型放射光施設SPring-8(スプリングエイト)がつくられている。南北朝時代の雄赤松則村(のりむら)(円心)の根拠地白旗城跡(国指定史跡)や、赤松氏ゆかりの法雲寺、宝林寺、ボタンで知られた万勝院がある。面積150.26平方キロメートル、人口1万3879(2020)。

[大槻 守]

『『上郡町のすがた』(1973・上郡町)』『『上郡町史』全4巻(1999~2011・上郡町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「上郡」の意味・わかりやすい解説

上郡[町] (かみごおり)

兵庫県南西端,赤穂郡の町。人口1万6636(2010)。町域の大部分は山林で,水田は千種川およびその支流沿いに分布する。中心市街の上郡は江戸時代に千種川舟運の河港として発展し,周辺の農産物,木材の集散地としてにぎわった。明治後期の山陽本線の開通により舟運は衰えたが,上郡駅前に新市街地が形成された。稲作中心の農業と製材,鋳物生産などの工業が主産業であったが,現在は第3次産業が中心となっている。北東部では播磨科学公園都市が建設中である。中世に赤松氏が拠った白旗山城跡や同氏ゆかりの法雲寺,宝林寺がある。
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百科事典マイペディア 「上郡」の意味・わかりやすい解説

上郡[町]【かみごおり】

兵庫県南西部,赤穂(あこう)郡の町。千種(ちくさ)川中流域を占め,主集落は農産物集散の河港として発達,山陽本線が通じ,電気・コンクリート・縫製加工などの工業が行われる。米,野菜,果樹も産する。150.26km2。1万6636人(2010)。
→関連項目白旗城

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世界大百科事典(旧版)内の上郡の言及

【郡】より

…評も郡もともに〈こおり〉と読まれたらしいが,郡は評を継承しつつ701年(大宝1)の大宝令の制定とともに始まり,〈改新之詔〉はそれにもとづいて作文されたものと考えられている。令の規定では,50戸よりなる1里(のち郷と改称)で20里以下16里以上を大郡,12里以上を上郡,8里以上を中郡,4里以上を下郡,2里以上を小郡とし,各郡ごとに郡家(ぐうけ)とよばれる役所を置き,郡司(大領・少領・主政・主帳の四等官)が政務をとった。713年(和銅6)5月,《風土記》の撰進が命ぜられたのと同時に郡郷の名には好字が使われるようになった。…

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