白旗城(読み)しろはたじょう

日本の城がわかる事典 「白旗城」の解説

しろはたじょう【白旗城】

兵庫県赤穂郡上郡町にあった山城(やまじろ)。室町時代播磨守護赤松氏本城。国指定史跡。築城年代は1333年(元弘3)説と1335年(建武2)説があるが、築いたのは赤松則村(のりむら)(円心(えんしん))である。標高440mの白旗山山頂本丸を置き、北から南へと連なる尾根筋に曲輪(くるわ)が梯郭式に並び、それぞれの曲輪から東に延びる支尾根には階段状に小曲輪群が幾段にも築かれた縄張りとなっている。1335年(建武2)則村は足利尊氏(あしかがたかうじ)に与し、白旗城にこもって新田義貞(にったよしさだ)の大軍を50日余り播磨に足止めさせ、湊川の戦いでの足利軍勝利に貢献した。この戦功により、則村は播磨守護職に任じられた。1441年(嘉吉1)、赤松満祐(みつすけ)は将軍足利義教(よしのり)を討つと白旗城で挙兵したが、室町幕府軍に攻められて落城した(嘉吉の乱)。城の遺構として曲輪、土塁、石垣、竪堀、堀切が残っており、山陽自然歩道を通って登ることができる。また白旗山山麓には、赤松氏の菩提寺法雲寺(ほううんじ)など赤松氏にまつわる多くの旧跡がある。智頭急行河野原円心(こうのはらえんしん)駅から登城口まで徒歩約20分。

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改訂新版 世界大百科事典 「白旗城」の意味・わかりやすい解説

白旗城 (しらはたじょう)

兵庫県赤穂郡上郡町赤松の白旗山(標高440m)の山頂に築かれた山城。1336年(延元1・建武3)赤松則村(円心)が新田義貞を迎え討つために築いた。城の名は,源氏の白旗が天空より舞い下ったという伝説による。則村が義貞を欺いて築城の日時をかせいだ話,欺かれたことを知って激怒した義貞軍6万余騎に50余日も攻められて落ちなかった話,天険を利した城には登るすべもなく,城中には播磨,美作の高名な弓の名人800人がこもって果敢に応戦した話などは《太平記》に詳しい。白旗城は赤松氏の象徴的な本城であったが,嘉吉の乱に山名氏に攻められて落城し,赤松政則が飾磨郡に置塩城を築いてこれを本城としたため,以後再興されずに廃城となった。浅野文庫所蔵の〈諸国当城古城之図〉にある播磨国白旗城図は近世の踏査によるものらしく,ほぼ現状に近い。
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百科事典マイペディア 「白旗城」の意味・わかりやすい解説

白旗城【しらはたじょう】

兵庫県上郡(かみごおり)町の白旗山(標高440m)の山頂にあった赤松氏の城。南北朝期に赤松則村(赤松円心)が新田義貞を迎え討つために築いた城で,当城をめぐる攻防は《太平記》に描かれている。その後,赤松氏の本城として続いたが,嘉吉の乱山名氏に攻められて落城,再建されることはなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白旗城」の意味・わかりやすい解説

白旗城
しらはたじょう

南北朝期~室町期の城。兵庫県上郡(かみごおり)町赤松(あかまつ)にあり、播磨守護(はりましゅご)赤松氏の居城であった。標高440メートルの白旗山山頂にあったことからこの名がある。築城年代については1333年(元弘3・正慶2)説と1336年(延元1・建武3)説とに分かれているが、赤松則村(のりむら)(法号円心(えんしん))が足利尊氏(あしかがたかうじ)に呼応してこの城に新田義貞(にったよしさだ)を迎え討ったことで広く知られる。則村ははじめ護良親王の令旨(りょうじ)を受けて後醍醐(ごだいご)天皇方として活躍し、建武(けんむ)政権成立に功があったが、やがて恩賞に不満をもち尊氏に応じた。城は、則村の孫満祐(みつすけ)の代のときに起きた嘉吉(かきつ)の乱(1441)により山名(やまな)・細川(ほそかわ)の大軍に攻められ、以後廃城となった。

[小和田哲男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白旗城」の意味・わかりやすい解説

白旗城
しらはたじょう

兵庫県赤穂郡赤松白旗山に鎌倉,室町時代にあった山城。播磨守護赤松氏の居城。季利のとき,築城されたという。延元1=建武3 (1336) 年足利尊氏が建武政府にそむくや,赤松則村はこれに従って播磨守護となり,同年2月白旗城に拠って挙兵した。尊氏の西走に伴い,新田義貞らの包囲攻城下におかれたが,同年5月義貞の撤兵,尊氏の東上をみるまでこれを守った。以来中国地方の名城として続いたが,嘉吉1 (1441) 年満祐のとき,嘉吉の乱で赤松氏が滅び,のち廃城となった。

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