正称は全日本産業別労働組合会議。1946年8月,21の産業別組合を結集し,当時の組織労働者の40%以上の163万人を擁して結成された全国中央労働組織(ナショナル・センター)。総同盟が府県連合会を基礎とし日本社会党と関係が深かったのに対し,産別会議は産業別組合を基礎とし,世界労連(WFTU)の基本綱領に基づく綱領をもち,日本共産党の影響を強く受けた。結成直後の46年,10月闘争(産別十月闘争)や47年の二・一ストを指導し,敗戦直後の日本労働運動の主導権を握った。しかし同時に,その指導について,共産党による運動方針の〈押付け〉〈引回し〉に批判が集まるようになった。産別会議はこの弱点を自己批判したが徹底したものではなく,48年,組合民主化を旗印にした民同派(産別会議民主化同盟)の発生を内部にみた(〈民同運動〉の項参照)。産別会議は48年以降,地域人民闘争,産業防衛闘争などを闘ったが,闘争方針そのものの誤りに加えて指導上の弱点も克服できぬまま,民同派による批判,官憲による弾圧,大量解雇によって加盟組合の脱退が相次ぎ,組織人員を急速に減少させた(1949年12月には〈新産別〉が分裂,結成)。そして朝鮮戦争発生後の50年後半に始まるレッドパージがとどめを刺し,51年末には,5単産,組織人員4万人の弱体組織となった。この間,総評結成の動きを前にして全労連への発展解消による組織維持をめざしたが,全労連が解散させられたため果たせなかった。その後,共産党の分裂状態の影響を受けて,組織の微弱化のうえに機関の空洞化がすすみ,労働組合としての具体的な運動がほとんど組めなかった。55年に共産党が六全協で極左冒険主義や産別会議の〈引回し〉を自己批判した後,産別会議も過去の運動を自己批判し,解体の方向を決定した。58年2月,産別会議の主力組合である全日本金属が総評傘下の全国金属と合同することになり,産別会議も同月解散した。解散時の勢力は,2単産,組織人員9000人であった。
執筆者:遠藤 公嗣
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全日本産業別労働組合会議の略称。1946年(昭和21)8月に結成された左派系労働組合のナショナル・センター。47年の2・1ストを準備する主力となり,労働組合運動の指導権を握った。だが2・1スト計画が頓挫した頃から,内部に批判派(民同派)が発生。49年の行財政整理,企業再建整備など政府と経営者からの圧力や,50年のレッドパージで職場の活動家が排除されて勢力は大きく後退し,58年に解散した。
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…第2次大戦後,経済復興を労使協力により達成するため,総同盟と経済同友会が中心となり,産別会議,経営者団体,技術者団体,調査団体,学識経験者等の参加を得て結成された国民運動組織。1947年2月に結成され(議長は鈴木茂三郎),48年4月に事実上解散した。…
…産別会議(1946年8月結成)の指導によって,1946年秋に行われた,傘下12産業別組合の共同闘争のことで,第2次大戦後数年間の〈組合攻勢期〉の頂点をなす争議の一つに数えられる。敗戦後,急速な盛上がりをみせてきた労働運動は,この年の春以来,占領軍と政府による生産管理の否認,大量解雇,大衆示威行為禁止などの厳しい弾圧をうけて,戦後最初の後退を余儀なくされた。…
…二・一ストが禁止された後,スト準備に結集した労働組合の団結を持続するとともに,訪日が予定されていた世界労連代表団の統一的な歓迎母体となるため,1947年3月10日結成された。産別会議,総同盟のほか,当時の中立系主要労働組合のほとんどが加盟し,第2次大戦後初の労働戦線統一組織となった。しかし総同盟の加盟を考慮して,決議は満場一致制とするなど,その性格はゆるやかな連絡協議機関にとどまった。…
…このような形で労働組合の組織化が進んだのは,日本ではもともと職業をきずなとして企業を越えて連帯するという伝統が弱かったうえに,戦争と敗戦にともなう生活の悪化が職員・工員の別なく進展したばかりでなく,〈民主化〉ムードのなかで職員も工員も同じ従業員という意識が浸透していったから,同じ企業・事業所でいっしょに働いている者どうしで連帯するというのが最も近道だったからである。これらの企業別組合は,産業別に連合を組むとともに,46年8月には産別会議(共産党系),総同盟(社会党系)という二つのナショナル・センターにそれぞれ結集していったが,産別会議がこの時期の運動のヘゲモニーを握った。 敗戦直後の運動は,戦争と敗戦による生産の荒廃と悪性インフレの進展のもとで,企業に生産再開を促しつつ,大幅な賃金引上げを図っていくことに重点が置かれていた。…
※「産別会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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