中宿(読み)ナカヤド

デジタル大辞泉の解説

なか‐やど【中宿】

目的地までの途中で宿をとること。また、その宿。
江戸時代、宿元のない奉公人の身元引受人となり、出替わりや宿下がりのときに仮に滞在させた宿。奉公人宿。
江戸時代、男女を密会させた宿。出合茶屋。
江戸時代、上方で、引き手茶屋の称。

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大辞林 第三版の解説

なかやど【中宿】

途中で宿泊・休憩する所。また、その宿泊や休憩。 「夢の浮世の-の宇治の橋守/謡曲・頼政」
近世、奉公人の身元保証をし、出替わりや宿下がりのときに滞在させた家。 「 -へ人に負はれて帰りぬ/浮世草子・一代女 5
近世、男女の密会に場所を提供した家。出合い宿。 「僧正が谷は衆道の-/浮世草子・御前義経記」
引き手茶屋」に同じ。 「 -の貸し編笠の目つけ紋/浄瑠璃・暦」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中宿
なかやど

村内婚と村外婚とを問わず、嫁が直接婿の家に入らないで、途中休息をしたり、着替えをするための家をいう。仲宿とも書く。コヤド、オチツキなどの名称もある。仲人(なこうど)の家や婿方の親戚(しんせき)ないしは村の大家、親方の家を使用する。嫁ばかりでなく荷物の受け渡しを行うこともあり、簡単な酒宴が催されるのが普通である。嫁はそこで正式な式服に着替え、仲人の指導によって婿の家に伴われる。簡略といえるかどうかわからないが、中宿をたてないで直接婿の家に入る地方もある。そのために一室を用意するが、それをオチツキという。ときには婿の家の近隣の親しい家をそれに使用することもある。結婚式は、昔は重要視されたものであるが、今日では特定の結婚式場を用いるようになったので、ほとんどこうした慣例はなくなった。なおこの場合でも、仲人が中宿へ行ってから、婿方から三度の出迎えの使者を出し、四度目には途中で出会うようにする風習を残す地方もある。[竹内芳太郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

なか‐やど【中宿】

〘名〙
① 目的地に至るまでの中間の宿、または休息所。また、そこにとどまること。
※関西大学蔵本拾玉集(1346)二「郭公杜の木ずゑのみわたしに中宿しむる松の一村」
※随筆・戴恩記(1644頃)上「秀吉公いつも御参内の時、御束めしかへらるる御中やど施薬院にて」
② 江戸時代、一季・半季奉公人宿元のない者のために、身元引受人となり、出替り宿下りの時などに滞在するようにした家。奉公人宿。
浮世草子好色一代女(1686)五「やうやう御断を申て、せめて死ぬうちにとおそろしく中宿(ナカヤド)へ人におはれて帰りぬ」
③ 江戸時代、男女の密会に場所を提供した家。出合茶屋小宿
※評判記・難波物語(1655)「世にいやしげなるろくしゃく風情を中宿(ナカヤト)としてふかくかたらふ」
④ 江戸時代、上方で、引手茶屋などの称。のち、広く遊里に通う者が途中休み場所とするための家を称した。着替えや変装、または遊女との連絡場所などにあてられた。
浄瑠璃・暦(1685)二「おろせがいそげばなかやどの、かしあみがさのめつけもん丸のうちに二つぼし」
⑤ 婚礼のときに、花嫁が婚家にはいる前、一たんはいって休息する家。

なか‐やどり【中宿】

〘名〙 外出・旅行の際、途中で、休息または宿泊すること。また、そのところ。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「六条わたりの御忍びありきのころ、内裏よりまかで給ふなかやどりに」

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世界大百科事典内の中宿の言及

【待合】より

…原則として待合は,芸者などの芸人を招いて客に遊興させる店で,調理設備をもたず飲食物は他から取り寄せることとし,貸席料のほかに飲食代や芸者の玉代(ぎよくだい)および売春料の一部をはねて収入とする。なお,江戸時代の売春仲介貸席業としては,中宿(なかやど),盆屋(ぼんや),船宿などがあった。【原島 陽一】。…

※「中宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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