中山王(読み)ちゅうざんおう

精選版 日本国語大辞典 「中山王」の意味・読み・例文・類語

ちゅうざん‐おう‥ワウ【中山王】

  1. ちゅうざんせいおう(中山靖王)

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改訂新版 世界大百科事典 「中山王」の意味・わかりやすい解説

中山王 (ちゅうざんおう)

琉球国中山王公称琉球国王のこと。14世紀に入ると,沖縄には山北(さんほく),中山山南とよばれる三つの小国家が出現し,それぞれ〈王〉を称した。中山王の呼称はこのうちの中山の王の称であったが,やがて15世紀初期に中山王の尚氏が他の2国を平定して統一王朝(琉球王国)を樹立すると,そのまま統一王朝の王の呼称として用いられた。1372年の国交関係樹立以後,中山王は中国皇帝の名において派遣される冊封使によって冊封される慣例となり,琉球処分までの500年間この慣例は存続した。1477年から1526年まで50年にわたって王座に君臨した尚真の治世期には〈ティダ(太陽)〉〈世(よ)の主(ぬし)〉ともよばれる絶対的な存在となった。〈御主加那志(うしゆがなし)〉の俗称もある。1872年(明治5),琉球の統合を意図して明治政府は〈琉球藩王〉の称を与え,79年には王国を廃して沖縄県の設置を断行した(琉球処分)。これにより中山王の歴史は終止符を打たれ,最後の国王尚泰侯爵に列せられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中山王」の意味・わかりやすい解説

中山王
ちゅうざんおう

琉球(今日の沖縄県)の歴代国王の称号古来,琉球は中山ともいわれ,特に中国の代以降,1879年の琉球廃止(→琉球処分)まで,国王は中国から琉球中山王の冊封(→朝貢貿易)を受けることをならわしとしていた。歴代中山王では,統一以前の察度(さっと),山北(北山)・中山・山南(南山)の三王国の統一政権を首里に立てた尚巴志(しょうはし),1469年成立した第二尚氏の中央集権制を推進した尚真王,1609年島津氏来攻により日本と国の両属関係を決めた尚寧王らが有名。(→尚氏琉球貿易

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「中山王」の解説

中山王(ちゅうざんおう)

14世紀中頃の琉球(りゅうきゅう)は3部に分かれ,明朝はこれを中山,南山(なんざん),北山(ほくざん)と称し,それぞれに王号を与えて朝貢させていた。15世紀,中山王尚巴志(しょうはし)が三山を統一してから,中山王は琉球全体の国王の称号となった。琉球では世主(よのぬし)と呼ばれた。1872年,明治政府が琉球を藩にすると王は華族に列せられた。続いて79年の琉球処分により藩が廃止されて沖縄県が置かれると,最後の王尚泰(しょうたい)は明治政府の命令で東京に移住させられた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「中山王」の解説

中山王
ちゅうざんおう

琉球国王の称号。14世紀後半に中国(明朝)に朝貢を開始した頃の琉球には,山北(さんほく)(北山)国,中山国,山南(さんなん)(南山)国が存在した。明国はそれぞれから朝貢をうけいれ,琉球国中山王,同山北王,同山南王と呼称した。15世紀前半頃に中山国が山北,山南を併合して統一国家を樹立したが,その後も琉球国中山王が継続して使用されたため,琉球国王の対外的呼称として中山王が定着した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「中山王」の解説

中山王
ちゅうざんおう

琉球王国国王の呼称
琉球では,14世紀以来,北山・中山・南山の3国が鼎立していたが,1429年,中山王の尚巴志 (しようはし) がこの3国を統一し,明に朝貢してその冊封を受けた。以後,中山王は琉球王の呼称となった。

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世界大百科事典(旧版)内の中山王の言及

【琉球】より

…北部には今帰仁(なきじん)城を拠点とする〈山北(さんほく)(北山)〉が,中部には浦添(うらそえ)城(のちに首里(しゆり)城)を拠点とする〈中山(ちゆうざん)〉が,南部には島尻大里(しまじりおおざと)城(一時は島添(しまそえ)大里城)を拠点とする〈山南(さんなん)(南山)〉が割拠して互いに覇を競った。 1372年中山王察度(さつと)は中国に誕生した明朝の太祖洪武帝の招諭を受け入れて初めて入貢し,その冊封(さくほう)体制の一員となった。これにつづいて山南王,山北王も同様の関係を結び,三山の対立はいよいよ激化する形勢となった。…

※「中山王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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