沖縄の三山(さんざん)時代の小国家の一つ中山(ちゅうざん)の王。貧農奥間大親(おくまうふや)と天女(てんにょ)の間に生まれた子と伝えられ、神号を大真物(おおまもの)と称した。鉄製農具を普及させるなどの功により人心をつかみ、浦添按司(うらそえあんじ)となった。1350年、中山王の世子を廃して自ら中山王となり、新しい王統(察度王統)を開いた。1372年、明(みん)の太祖洪武帝(こうぶてい)の招諭に応じて弟泰期(たいき)を遣わし、中国との間に初めて進貢関係を樹立した。この関係は以後500年余にわたって存続し、中国と沖縄(琉球(りゅうきゅう))の深い結び付きを促すこととなった。中国との間には外交・貿易策のほか、1392年には官生(かんしょう)(留学生)派遣制度も開始するなど関係強化に努めている。一方、南蛮(東南アジア)諸国との貿易や高麗(こうらい)およびその滅亡後に建国された朝鮮王朝(李氏(りし)朝鮮)との間にも貿易を展開している。中継貿易基地として発展する中山には、堺(さかい)・博多(はかた)・対馬(つしま)などの日本商船も来航した。これにより中山の勢力は他の小国家(山南(さんなん)、山北(さんほく))に比べて優位となったが、余勢を駆って統一国家を建設するには至らぬまま、1396年に没した。
[高良倉吉]
(真栄平房昭)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
1321~96?
琉球の察度王統の始祖で初代中山(ちゅうざん)王。伝説では母は天女で父は奥間大親(おくまうふや)とされる。牧港(まきみなと)へ来航する日本船との交易で鉄を入手し領民へ農具を与え,貧窮民を救うなど人望が厚く,推されて王位についたという。1372年建国まもない明国の招諭をうけて弟の泰期(たいき)を派遣し,明の朝貢国となる。山南国・山北国も同様に明国と朝貢関係を結ぶが,中山国の朝貢貿易が他の2国を圧倒した。琉球在の華僑を中山王権にとりこみ,明の国子監へ官生(留学生)を派遣するなど中国の文物を積極的に導入し,中国・朝鮮・東南アジアの漢字文化圏諸国や日本との中継貿易を活発に行った。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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