察度(読み)さっと

精選版 日本国語大辞典 「察度」の意味・読み・例文・類語

さっ‐と【察度】

〘名〙 咎(とが)め。非難
浄瑠璃摂津国長柄人柱(1727)一「ホホウ至極の察賞(サット)さこそさこそ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「察度」の意味・わかりやすい解説

察度
さっと
(1321―1396)

沖縄の三山(さんざん)時代の小国家の一つ中山(ちゅうざん)の王。貧農奥間大親(おくまうふや)と天女(てんにょ)の間に生まれた子と伝えられ、神号を大真物(おおまもの)と称した。鉄製農具を普及させるなどの功により人心をつかみ、浦添按司(うらそえあんじ)となった。1350年、中山王の世子を廃して自ら中山王となり、新しい王統(察度王統)を開いた。1372年、明(みん)の太祖洪武帝(こうぶてい)の招諭に応じて弟泰期(たいき)を遣わし、中国との間に初めて進貢関係を樹立した。この関係は以後500年余にわたって存続し、中国と沖縄(琉球(りゅうきゅう))の深い結び付きを促すこととなった。中国との間には外交・貿易策のほか、1392年には官生(かんしょう)(留学生)派遣制度も開始するなど関係強化に努めている。一方、南蛮(東南アジア)諸国との貿易や高麗(こうらい)およびその滅亡後に建国された朝鮮王朝(李氏(りし)朝鮮)との間にも貿易を展開している。中継貿易基地として発展する中山には、堺(さかい)・博多(はかた)・対馬(つしま)などの日本商船も来航した。これにより中山の勢力は他の小国家(山南(さんなん)、山北(さんほく))に比べて優位となったが、余勢を駆って統一国家を建設するには至らぬまま、1396年に没した。

[高良倉吉]

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朝日日本歴史人物事典 「察度」の解説

察度

没年:察度46.10.5(1395.11.17)
生年:玉城8(1321)
琉球王国の黎明期に君臨したと伝えられる王。『中山世譜』(琉球正史のひとつ)によれば,沖縄本島の浦添間切謝名村に奥間大親を父として生まれ,母は羽衣伝説上の天女と伝承される。勝連按司(豪族)の娘と結婚し,察度1(1350)年に英祖王統に代わり中山王位を継承。これを察度王統と称する。察度王代における最大の功績は,中国(明朝)と正式な通交関係を樹立したことである。同23年,明の太祖洪武帝の招諭に応じた察度は弟の泰期を明に派遣し,朝貢貿易が始まった。それ以後,ほぼ毎年進貢し,さらには東南アジアや朝鮮との貿易にも力を入れた。この時代に琉球王国はアジア諸国と結び,世界史の舞台で中継貿易センターとしての性格を強めていき,日本商船も堺,対馬などから数多く来航するようになった。察度が浦添の牧港に来航した日本船に満載された鉄塊を買い取り,農民に鉄製農具を造らせて,人望を得たというエピソードが史書にみえる。

(真栄平房昭)

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普及版 字通 「察度」の読み・字形・画数・意味

【察度】さつたく

考えはかる。〔大戴礼、文王官人〕太師愼みて維(こ)れ深思し、、民務を、察(あき)らかに傷を度(はか)り、官民の態を變じ、其の才芸を(かぞ)へよ。

字通「察」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「察度」の解説

察度
さっと

1321~96?

琉球の察度王統の始祖で初代中山(ちゅうざん)王。伝説では母は天女で父は奥間大親(おくまうふや)とされる。牧港(まきみなと)へ来航する日本船との交易で鉄を入手し領民へ農具を与え,貧窮民を救うなど人望が厚く,推されて王位についたという。1372年建国まもない明国の招諭をうけて弟の泰期(たいき)を派遣し,明の朝貢国となる。山南国・山北国も同様に明国と朝貢関係を結ぶが,中山国の朝貢貿易が他の2国を圧倒した。琉球在の華僑を中山王権にとりこみ,明の国子監へ官生(留学生)を派遣するなど中国の文物を積極的に導入し,中国・朝鮮・東南アジアの漢字文化圏諸国や日本との中継貿易を活発に行った。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「察度」の解説

察度(さつと)

中山王(ちゅうざんおう)

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