中能登(読み)なかのと

改訂新版 世界大百科事典 「中能登」の意味・わかりやすい解説

中能登[町] (なかのと)

石川県北部,鹿島郡の町。2005年3月鹿島(かしま),鳥屋(とりや),鹿西(ろくせい)の3町が合体して成立した。人口1万8535(2010)。

能登町南東部の旧町。鹿島郡所属。人口8554(2000)。北東は七尾市,南は富山県に接する。南東は宝達丘陵北西邑知潟(おうちがた)地溝帯に属する二宮川,久江川などの扇状地となっている。国道159号線(旧七尾街道)が山麓に沿って走り,帯状に集落が発達する。基幹産業は繊維工業農業だが,かつて隣接の旧鹿西・旧鳥屋両町とともに農家の副業として〈能登上布〉の生産が盛んで,後に〈八台織屋〉と称する家内工業が成立,現在の繊維工業の基盤となる。邑知潟平野は能登地方随一の米作地帯で,山間部では杉,アテ(アスナロ)などの良材を産出する。富山県との境をなす石動(いするぎ)山(564m)は古代から続く霊山で,国指定の史跡であり,山頂伊須流岐比古神社がある。眺望がよく能登半島国定公園に含まれる。JR七尾線が通る。

中能登町北西部の旧町。鹿島郡所属。人口5587(2000)。東部は邑知潟平野の北部に当たる低地で,西部は丘陵となっている。邑知潟平野一帯では第2次大戦前,農家の副業として能登上布の生産が盛んで,現在も繊維工業が町の基幹産業となっている。ほかに電気器具製造が行われる。また邑知潟平野は肥沃な米作地帯で,丘陵地では酪農が行われる。JR七尾線が通る。

中能登町西部の旧町で,能登半島基部にある。鹿島郡所属。人口5008(2000)。北西部は眉丈山系の丘陵地,南東部は邑知潟低地帯で,町域南辺を石動山に発する長曾川が西流し,川沿いにJR七尾線が通じる。中心の能登部(のとべ)は,手織麻織物の〈能登上布〉発祥の地である。上布生産は農家の副業として始まり,元禄年間(1688-1704)に問屋制家内工業に発展した。昭和初期に最盛期を迎えたが,機械化が困難なため第2次大戦後衰退した。その後,絹織物や合成繊維の工場が増加したが,昭和60年代から再び衰退し,新しい企業の誘致を進めている。能登上布の伝統技術継承者は県の無形文化財。また町北部の西馬場には雨の宮古墳群がある。JR七尾線が通る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中能登」の意味・わかりやすい解説

中能登(町)
なかのと

石川県中北部、鹿島郡(かしまぐん)にある町。2005年(平成17)、鹿島郡鳥屋町(とりやまち)、鹿島町、鹿西町(ろくせいまち)が合併して成立。七尾(ななお)市の南、能登半島中央部邑知地溝帯(おうちちこうたい)の平野部にあり、東に石動(せきどう)山、西に眉丈(びじょう)山を望む。石動山から流出する二宮川、長曾(ながそ)川などが流れる。JR七尾線、国道159号が通じる。石動山系西麓の親王塚古墳(しんのうづかこふん)は北陸地方最大、最古級の円(あるいは帆立貝形)墳。眉丈山の尾根筋に造られた雨の宮古墳群(あめのみやこふんぐん)は北陸地方最大級の前方後方墳と前方後円墳ほかが点在し国指定史跡。現在は「ふるさと歴史の広場公園」として整備されている。古墳時代後期には大規模な鳥屋窯が開窯され、平安時代まで操業された。山岳信仰の霊場として中世まで栄えた石動山天平寺(てんぴょうじ)は明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により廃絶したが、その後発掘調査が進められ、山内で最も権威と格式を誇る坊であった大宮坊の復元、整備が行われ、2002年(平成14)に完成、公開されている。山頂一帯は国の史跡に指定されており、天平寺の遺跡のほか戦国時代の堀跡や伊須流岐比古神社(いするぎひこじんじゃ)が鎮座する。基幹産業は農業と繊維生産であるが、金属加工、瓦製造などの工業も行われる。中能登の伝統産業である「能登上布(じょうふ)」(県指定無形文化財)の保存と継承のため、1996年(平成8)に能登上布会館が開館した。石動山は能登半島国定公園に含まれ、原生林相をもち、山頂からの眺望がよく、遠くは佐渡島が望まれる。面積89.45平方キロメートル、人口1万6540(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「中能登」の意味・わかりやすい解説

中能登[町]【なかのと】

石川県中北部,能登半島付け根に位置する鹿島郡の町。2005年3月鹿島郡鳥屋町,鹿島町,鹿西町が合併し町制。JR七尾線,国道159号線が通じる。89.45km2。1万8535人(2010)。

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