精選版 日本国語大辞典 「問屋制家内工業」の意味・読み・例文・類語
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問屋とは物品の買入れ、販売の取次ぎをする企業家のことをいう。その企業家が市場における大量の需要を目当てに、自らが生産に乗り出すのではなく、多くの零細な家内労務者に生産を委託する企業体制を問屋制家内工業という。問屋が、単に製品の直接間接の買占め人である場合、高利貸をも兼ねて、生産者に貸しをつくり負債と引き換えに製品を買いたたく場合、原料や生産用具を前貸しして、生産者をいっそう従属させる場合などがある。生産者は自宅内に仕事場をもち、多くの場合、生産用具は自分のものであるから、形のうえでは独立した小生産である。だが、資本力が弱く商人企業家に頼らざるをえないこと、商人企業家の市場支配力に依存して製品を販売しなくてはならないこと、このような経済事情から、実質的には賃金労働者に似た従属関係に置かれる。
問屋制家内工業は、前近代の自営的手工業と、近代の機械制大工業の中間にある過渡的な企業形態である。技術の面では手工業の水準にありながら、市場が拡大し、流通面の有力者が経済活動の指導者でありえた時代だったからである。ただし、家内工業の生産者が、封建制社会のなかでどのような位置にいるのか、その社会での都市手工業者の勢力がどの程度か、市場関係が遠隔のものか近隣のものか、などの社会的、経済的事情により、問屋制家内工業の強弱や、そこから機械制大工業への移行の速度が決められた。
[寺尾 誠]
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江戸~明治期に小生産者の営む家内工業が,前貸制度を通して特定問屋に隷属させられた形態。自己の住宅内で自己の道具を用いて家族労働を中心に特定商品の生産に従事する形態が,商品経済の発展に巻き込まれた結果,特定有力問屋の支配下に隷属し,原料・道具などの前貸をうけて製品を生産し,問屋に納めて加工賃をうけとるという形態に転化した。この形態は賃挽(ちんびき)・出機(だしばた)制として製糸業や織物業の分野などで早くからみられ,明治期に入って近代工業が発展したのちも,その周辺部に多く残されて現在に至る。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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…小売手工業から卸売手工業への移行である。不特定多数を目あてとしての商品生産は商人なしには不可能であり,工業はしだいに商業に依存するようになり,商人が問屋として工業を支配する問屋制家内工業が成立した。これは問屋商人といわれる大商人が手工業者に原料や道具を貸与し手間賃を払って生産させた手工業品を売る形態である。…
…後者は資力の乏しい職人が問屋より原料や道具を貸与されて手間賃をかせぐ場合であった。この場合,問屋は自己の計算で加工工程を掌握することになり,いわゆる問屋制家内工業を営んでいることになる。たとえば大坂,行田の足袋問屋はこれに当たる。…
…一般的には自宅の作業場で家内労働を中心に営む小規模の工業経営をいうが,歴史的には,商人(問屋)から供給される原材料や半製品を自宅で賃加工する問屋制家内工業を指す。作業が労働者の〈家庭〉で行われるので,英語では〈ドメスティック・インダストリーdomestic industry〉というが,問屋が仕事を〈下請けに出す〉ので〈プッティングアウト・システム〉とも呼ばれる。…
※「問屋制家内工業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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