民事訴訟において,訴訟手続の進行中に審理を整序して終局判決を準備するためになす判決。個別の訴訟につき中間判決をするか否かは,裁判所の訴訟指揮的な裁量によって決められる。実務的には中間判決をせずに,終局判決の理由中でその判断を示すことが多い。しかし中間判決をしたときは,同一審級では,以後その判断に拘束される。すなわち裁判所は中間判決を前提として終局判決をしなければならないし,また当事者も中間判決以降その審級では,判決された問題(事項)に関する訴訟資料を提出できなくなる。中間判決に対しては,独立の上訴は認められていない。民事訴訟法上,中間判決をなしうる事項は次の三つに限定されている(245条)。(1)独立の攻撃防御方法 たとえば所有権確認訴訟の場合に,その取得原因として買取りと時効が主張されているとき,それぞれの争点に関する攻撃防御方法はこれに該当する。(2)手続上の事項に関する争い(中間の争い) たとえば訴訟要件の存否とか,訴えの取下げの効力などの訴訟手続に関して審理中に生じた当事者間の争いは,これに該当する。(3)請求の原因および数額について争いがあって,まずその原因を肯定するとき たとえば不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の場合,賠償責任の有無を損害額に関する争いと切り離して審理し,原因についての肯定判断をしたうえで(この中間判決は原因判決といわれる),つぎに損害額に関する審理を行えば,むだな審理を回避できる。
執筆者:納谷 廣美
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…(7)裁判事項 以上のように,判決のほうが複雑・慎重な手続をとっているので,請求の当否,有罪か無罪か,訴訟要件(訴訟条件)を具備しているかどうか,など訴訟手続上重要な事項を裁判するのに用いられ,決定・命令は,それ以外の付随的事項,訴訟指揮上の措置,執行に関する事項を裁判するのに用いられている。
[判決の種類]
(1)民事訴訟 第一審から第三審までの各裁判所が,その審級ごとに事件について最終的に言い渡す判決を,終局判決といい(民事訴訟法243条1項),その終局判決が言い渡されるまで,訴訟手続において中間的に派生した一定の争いを解決する判決を,中間判決という(245条)。終局判決は,事件の全部を解決するか一部を解決するかで,全部判決,一部判決に分かれ(243条2項,3項),また,本案判決,訴訟判決にも分かれる。…
※「中間判決」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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