筑前(ちくぜん)国早良(さわら)郡姪浜(めいのはま)(福岡市)の古方医(こほうい)の子。名は魯(ろ)、字(あざな)は道載(どうさい)、通称は主水(もんど)または道哉(みちや)。少年期より徂徠(そらい)学派の肥前の僧大潮(だいちょう)(1676/1678―1768)に学び、宝暦(ほうれき)(1751~1764)に上坂して永富独嘯庵(ながとみどくしょうあん)に就く。帰国後、父に従い唐人(とうじん)町に移居して医院・塾を経営、朝鮮通信使との詩文応対でその才を認められ、藩の儒医に抜擢(ばってき)される。さらに、かねての藩校急務論が認められ、1784年(天明4)東西両藩校創設に際し、西学甘棠館(かんとうかん)の総裁に任ぜられた。西学は学ぶ者が多く、東学を圧倒していたが、やがて寛政(かんせい)異学の禁(1790)に便乗した東学修猷館(しゅうゆうかん)の朱子学派から陥れられ、南冥は隠退の身となって、その後に主著『論語語由』をまとめた。『論語』の注釈書は多いが、後儒のさかしらによりその原意がゆがめられているとし、本書は孔子のことばによってのみ孔子を語らせるという方法をとり、もっとも優れた注釈書の一つとされる。ほかに『肥後物語』『半夜話(はんやばなし)』『南游(なんゆう)紀行』『金印弁(きんいんべん)』などの著がある。漢詩に優れ、書をよくし欧陽詢(おうようじゅん)に倣った。また酒をたしなみ任侠(にんきょう)肌で、郷党に儒侠(じゅきょう)と称せられた。
[井上 忠]
『高野江鼎湖著『儒侠亀井南冥』(1913・共文社)』▽『荒木見悟他編『亀井南冥・昭陽全集』全8巻9冊(1978~1980・葦書房)』
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江戸中期の儒学者。名は魯,字は道載,通称道哉。南冥は号。筑前姪浜の人。僧大潮に儒学を,永冨独嘯庵に医学を学ぶ。1778年(安永7)福岡藩儒医に抜擢され,83年(天明3)西学問所学頭となったが,92年(寛政4)職禄を放たれた。学は徂徠学を奉じたが孔子を尊び,子の昭陽が大成して〈亀門学〉と称され西国に重きをなした。主著に《論語語由》《春秋左伝考義》《肥後物語》がある。
執筆者:頼 祺一
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…1784年(天明4)2月23日,博多湾志賀島で百姓甚兵衛が水田の溝を修理していたところ,二人持ちの大石が現れ,これを掘り起こすと金印が出てきたと伝えられる。当時福岡藩の藩校甘棠(かんとう)館の祭酒(校長)であった亀井南冥はこれを鑑定し,実物であることを主張,《金印弁》を著している。その後,金印は黒田家所蔵となったが,近年福岡市に寄贈された。…
※「亀井南冥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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