五人組が遵守すべき法令と五人組員が連署・捺印した帳簿の通称。五人組御改帳,五人組手形,五人組前書帳など多くの別称がある。作成されたのは承応年間(1652-55)を上限とし,寛文期(1661-73)以降は全国的にみられる。帳簿の形式ははじめに法令(前書(まえがき))があり,あとに五人組単位に戸主の名前と請印がある。各戸の記事には石高,家族,牛馬など宗門人別帳を兼ねる内容のものもあるが,当初の時期では戸主名,捺印のみの形式が普通である。〈前書〉の条文は10ヵ条程度のものから,多い場合は山本大膳五人組帳のように147ヵ条の法令集の体裁をなすものもある。内容は治安維持,年貢収納,検見,田畑売買禁止など過去に出された法令も含まれる。〈前書〉は年に1度以上,名主が読み聞かせたが,のち請印だけすればよいとするほど形式化した。一方,寺子屋の手習本に五人組帳の条規が編入されたり,活版の五人組帳にはふりがなが付されるなど,五人組前書が手習い,読書の対象となるようになった。
執筆者:煎本 増夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
江戸時代に五人組制度を維持するために各村や町で毎年作成され、その構成員を記した台帳。内容は、前書と本文からなる。
前書は、農民や町人の日常生活にかかわる細かい規定が、通常20~50条、長いのは百数十か条書かれている。通常、村・町役人がこれを農民や町人に読み聞かせ、一同がそれを厳守することを約束している。本文は、五人組ごとに組頭を筆頭に各戸主が連印している。毎年2冊作成し、1冊を領主に出し、1冊を村方、町方に置いた。五人組帳は、宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)と並んで江戸時代の村や町の農民や町人の構成を示す基本台帳であり、庶民生活を知る基本史料である。
[上杉允彦]
『野村兼太郎著『五人組帳の研究』(1943・有斐閣)』▽『児玉幸多著『江戸時代の農民生活』(1967・吉川弘文館)』
江戸時代,五人組の組合員の名前を記した帳簿。五人組成立当初は一紙文書のこともあるが,しだいに帳面仕立てが多くなっていく。正規の五人組帳は五人組帳前書とよばれる法令部分と,その遵守を誓約した五人組組合員の連印部分からなる。五人組帳は前書に示された法を村の構成員が五人組ごとに「請ける」という形をとるが,法自体が慣習法・道徳律から幕府禁令までさまざまな内容を含むため,その行為は年頭の行事として形式化していく。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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