小説家。中国の大連(だいれん)生まれ。本名栗田茂。旧制大連一中を経て東京商大(現一橋大学)中退。東京外語(現東京外国語大学)卒業後、満州(中国東北)の軍需会社に勤務、1943年(昭和18)召集されてソ満国境の各地を転々した。45年8月ソ連軍との交戦で所属部隊は全滅したが、九死に一生を得た。この戦争体験、敗戦体験に基づいて56年(昭和31)7月から全6冊の大河小説『人間の条件』(~1957)を書き下ろし刊行してベストセラー作家となった。その後『自由との契約』(1958~60)、『歴史の実験』(1959)、『孤独の賭(か)け』(1962~63)、『戦争と人間』(1965~82)などの長編小説を執筆し、戦争と人間との関係を執拗(しつよう)に追求した。その後も、戦争をテーマに追求し続け、フィクションの形で表現した『人間の条件』に対してドキュメントで書いた『虚構の大義』(1973)を刊行、さらに『ノモンハン』(1975)、『御前会議』(1978)、『ガダルカナル』(1980)、『「神話」の崩壊――関東軍の野望と破綻(はたん)』(1988)、『戦記小説集』(1990)と書き継いだ。また、『極限状況における人間』(1973)など、評論集もある。
[磯貝勝太郎]
『『極限状況における人間』(1973・三一書房)』▽『『五味川純平著作集』全20巻(1983~85・三一書房)』▽『『歴史の実験』『孤独の賭け』第1~3部(角川文庫)』▽『『ガダルカナル』『ノモンハン』上下『人間の条件』1~6『虚構の大義』『「神話」の崩壊――関東軍の野望と破綻』『戦記小説集』(文春文庫)』▽『『戦争と人間』1~9(光文社文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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